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第1章 高度情報化社会における人材育成の重要性

 

この章では、まず情報化の歴史と人材育成について概観し、現状と課題について述べる。次に着実に進歩しつつある高度情報化社会の特性を明確にし、そこでの人材育成の内容と課題について簡単に展望する。

 

第1節 情報化と人材育成の変遷

 

1 情報化の変遷

社会における第一世代の情報化は、1960年代後半から始まる汎用大型計算機の登場による事務(会計)処理のコンピュータ化や「みどりの窓口」、「銀行システム」などのオンライン処理によるものである。これにより、定型的な処理の繰り返しの労働から、また、空間と時間の制約から我々人間を解放するという情報化社会の特性が生まれた。

次の第二世代の情報化は、1980年代のパーソナル・コンピュータ(パソコン)と文書処理(ワープロ)、表計算ソフト、データベースなどの応用ソフトウェアの発展によるものである。コンピュータがこれまでの計算機室という閉ざされた場所から、個人個人の手元に移り、誰もが容易に直接コンピュータを業務や生活の問題解決などの知的な活動において利用できるようになった。言い換えれば、コンピュータを用いることにより、人間の知的な活動の幅を広げるということが情報化の目標とされた。

現在の第三世代の情報化は、1990年代のインターネットに代表されるコンピュータ・ネットワークによるものである。コンピュータ・ネットワークは、第二世代の情報化により個人の手元にあったコンピュータが有機的につながることで、それぞれのコンピュータの情報を交換したり、共有したりすることができるようになった。すなわち、情報の流通の様々な壁をなくす、情報バリアフリーの世界を作り出したのである。特に誰しもが世界中への情報の発信者になれる世界が生まれた。

そして21世紀には、コンピュータと情報通信ネットワークが、更に高度化することによる高度情報化社会が築かれようとしている。

 

 

 

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