添付資料
1. 熱分解反応解析方法
物品Aが熱分解をして、物品Bに変化すると仮定すると化学方程式は以下のようになる
A → B + (Q) ここで、Q:発熱量
実際の系では、Aには、熱分解する成分(熱分解成分)や熱分解しない成分、又熱分解開始温度の異なる熱分解成分等が含まれ、Bは、分解過程で種々の化学反応を経て生じた最終生成物質を成分とする混合物となる。
1) 化学反応について
いま、熱分解反応のみについて考えることにすると、式eq.1から
反応の速さ(反応速度)kは、物品Aの減少速度と観ることができるので
k=-(d[A]/dt)・・・・eq.1
2) 断熱状態(外からの熱の出入りがない状態)では、ある時刻迄の反応発熱量Qとその時刻迄のAの減少量及びその時刻での発熱速度と反応速度とは各々同じ意味合いを持つ(等価である)。
則ち、
ある時刻迄の Q ∽ -△ [A]
ある時刻での dQ/dt ∽ k
ここで記号∽は、比例関係があることを示している。
3) 一般の化学反応における反応速度kは、化学反応がn分子で反応すると仮定し、
k=-(d[A]/dt)=F・exp(-E/RT)[A]n・・・・eq.2 と示される。
ここで、F:頻度因子
E:活性化エネルギー
RT:気体定数と絶対温度との積
この式の両辺を反応開始時刻tiにおける物質の濃度をAi、温度をTi、反応終了時刻tf における物質の濃度を0、温度をTfとして時間で積分すると、時刻tにおける温度上昇速度は、
dT/dt = F・exp(-E/RT)・[Ai] (n-1) {(Tf-T)/(Tf-Ti)} n・(Tf-Ti) ・・・eq.3となる。
4) 熱分解反応においては、反応生成物が元の物質の分解反応を促進する場合が多いことが知られている。これを自触媒反応と呼んでいるが、この場合はeq.2に触媒反応項(中間体濃度)が乗ぜられて、
k'=-(d[A]/dt)=F・exp(-E/RT)[Ai] n・[B] ・・・eq.4 に示される。