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3.4 金属腐食性試験方法の考察

 

3.4.1 試験方法要旨

液体試験物質を試験容器に入れ、鋼またはアルミニウム試験片を全没・半没・気相中の3状態で保持されるように液量を日々調節し、その表面腐食度が6.25 mm/年を越える場合にその試験物質を腐食性物質と判定する試験である。

通達による試験条件は、55℃・7日間、並行試験における腐しょく率差±10%、試験物質使用量は1.8リットル 、蒸発減量は±1%以内(一定液量を維持)等を規定している。

 

3.4.2 試験片の入手と製作

(1) 鋼試験片(写-15参照)

SPV235圧力容器用鋼板相当品について、S金属工業より入手、資料-No.5「腐食試験片作成仕様書」に基づいた加工条件にて製作した。なお、ASTMでは丸型と角型と両方認められているが、今後の事も考え、加工性の良い角型タイプを選択した。上記鋼板はJISでは溶接性のよい熱間圧延鋼板であると解説している。

1] 材質:JIS G 3115、「圧力容器用鋼板」記載、SPV235相当品

2] サイズ:約35 mm×35 mm 角型/厚 10 mm/質量 93.6g/密度 7.93g/cm3/5φ穴付

3] 元板からの1次切り出しにガスカットを行ったが、カット時の熱的変質を削除するために表面厚を2.5 mmカットした。

4] 表面仕上げげは600番(57μm)以上研磨紙使用とした。:金属試験片の表面仕上げは120番研磨で良いとの文献もあったが、腐食度は表面粗さに大きく影響される事から、600番仕上げとした(通達記載指示番手と同一)。

5] 加工精度の検証は資料-No.2参照。

 

(2) アルミニウム試験片(写-16参照)

 

1] 材質:JIS H 4000、「アルミニウム及びアルミニウム合金の板及び条」記載A7075P相当品(T651)。

2] サイズ:直径 40mm 円盤/厚 8mm/質量 28.0g/密度 2.80g/cm3/5φ穴付

3] 切り板加工品

4] 表面仕上げは600番以上研磨紙使用とした。

5] 加工精度の検証は資料-No.2参照

従来使用の純アルミニウム試験片より腐食し易い材質である。文献値密度は2.81g/cm3であり材質の成分データから見ても今回選択した材質で問題無しと判断した。

 

3.4.3 アルカリ性試験液対応容器の検討(写-43〜44参照)

 

通常使用容器については前述、この項では耐アルカリ性試験容器について述べる。ガラス製試験容器の内部にフィットする形でプラスチック容器(メチルペンテン樹脂-PMP・TPX使用)をはめ込み、アルカリ性液体用試験容器とした。当会の経験ではアルカリ性液体の腐食性試験では液体と接触するガラス面は腐食されるが、気相との接触面が腐食する事はなかったので、試験容器蓋部分及び還流部分はそのままとした。但し、ガラス擦り合わせ部分には、テフロンスリーブレステーパーを装着した。

 

 

 

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