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3.3 ASTM法試験記載内容に対する検討

ASTMでは、例示・基本・指針・標準化は困難等の記載があり具体的な試験手順の規定は記載されておらず、試験者の工夫にまかせるとの内容となっている。

ASTM記載内容について、問題点の検討結果を下記する。

(1) 試験終了時液量は±1%を維持し、液量が減少する時は試験液を補充する。

:妥当であり、可能である。実際に液量は毎日補充が必要である。

(2) 並行2サンプルの試験結果はその平均値の±10%を越えてはならない。

:試験液量を一定に保てれば可能である。

(3) 反応により成分が失われる時はフレッシュ成分の追加、または、十分な試験液量の使用を示唆している。

:試験時の液量を結果的に無限大と規定しているのか、現実的には困難である。試験容器の容量を通常0.5〜5リットルとしているところから判断すると試験液量は0.25〜2.5リットルと推定されるが、後述の例示試験液量からの計算では最低720ml〜1,441ml(使用試験片サイズ40φ・8mmtの場合)となる。計算根拠は、試験片、面積当りの試験液量:0.20ml/mm2〜0.40ml/mm2の記述である。また、通達では試験液量として1.8リットルが記載されている。上記内容を踏まえ、2リットルまで使用可能な装置を確保したが、フレッシュ成分の追加については疑問が残り蒸発物質の補充による対応が現実的である。

(4) 試験液温度は±1℃以下にコントロールする。

:試験容器全体を保温することで可能となる。

(5) 試験期間は保護膜形成などにより腐食スピードが著しく遅くなることもあるので、長期間が望ましく、ASTM推奨時間は2,000/(Corrosion rate in MPY)、(MPY= mils per year,1ミル=0.0254mmであり)、腐食速度の限度値である6.25mmは246 MPYに相当するので2,000/246 MPY=8.13 時間以上となる。一般的試験期間として2-7日の記述もあるが通達では7日間を指定しているので、この条件にて実施する。

(6) 通常、通気はしないが、する時は溶存酸素の除去など特別な場合を除き空気撹拌を例示している。

:通常、通気はしない。窒素・アルゴン等不活性ガスの準備は必要である。

(7) 試験片洗浄方法は、穴腐食、蜂の巣状腐食等局所腐食時に問題である。ASTMには以下の3種洗浄方法の記載があり、検討が必要である。

1]物理的洗浄法:地金の削除を避け柔らかい研摩剤及びたわしで行う。

2]化学的洗浄法:適当な化学溶液により溶解する(PRACTICE G1 記載)。

3]電気的洗浄法:たわし洗浄の前に行われるべき方法(PRACTICE G1 記載)。

 

なお、洗浄法の詳細は測定報告書に記載のこと。

 

 

 

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