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5.2 隔離方法

船舶運送では、「その性質上相互に危険な反応を起こす貨物は、隔離しなければならない。」というSOLAS条約第VII章の原則があります。異なる2個の危険物を隣接して積載し、漏洩又は事故の場合にはなはだしい危険を生ずるおそれがあるときには、この物質又は物品は相互に隔離が必要となります。

 

5.2.1 隔離表

IMDGコード及び危規則では、相いれない危険物相互を「一定距離を離す。」、又は「双方の間に1個以上の鋼製の隔壁又は甲板を介在させる。」若しくは「この二方法を併用する。」等4段階の隔離方法によって漏洩又は事故の場合に危険な反応を起こす危険を防止しています。クラス及び副次危険(又は正標札及び副標札)同志の組み合わせを一覧表にした「危険物相互の隔離表」において隔離の必要が無いこと又は4段階の隔離方法を示すことによって隔離方法を規定しています。また、クラス1同志の隔離については、火薬類相互の隔離表があります。

最近では、複数の危険性を有する危険物が多くなり、隔離表の適用が難解なケースがあるのでそのような場合には専門家に助言を求めることを薦めます。

なお、相いれない危険物同志を同一の貨物輸送ユニットに混載することは禁止されています。

別添6「危険物相互の隔離表」 及び 別添7「火薬類相互の隔離表」を参照願います。

 

5.3 コンテナへの収納方法

近年危険物も含め個品貨物は、8割以上がコンテナによって運送されているといわれています。そのためIMDGコード、危険物船舶運送及び貯蔵規則等でも「コンテナによる危険物の運送」等特定の節を設け規定しています。コンテナ構造自体の安全性、コンテナへの収納・固縛方法、コンテナ内の危険物相互の隔離方法、危険物標識の表示等の各種の要件を定めています。コンテナへの収納方法については、「IMO/ILO/UN ECE 貨物輸送ユニット(CTUs)の収納のためのガイドライン」がIMO等の国際機関から出版せれており航空輸送以外の全ての運送モードにおいて利用することが推奨されています。

 

5.4 船舶の要件(危険物運送船適合証)

SOLAS条約に基づく船舶安全法により要求される船舶の要件のうち個品危険物を運送する船舶に防火等の措置として特に義務付けられている要件があります。昭和59年9月1日(1984年)以降に建造され個品危険物を運送する船舶は、危険物運送船適合証書を所持しなければなりません。危険物運送船適合証は、危険物を積載する区画の種類別及び危険物の分類別に消化ポンプの遠隔操作等、消化ポンプの能力の強化、冷却装置等の備え付け、発火源の排除、火災探知装置の備付け等各種の防火等の措置が執られていることを証明するものです。

 

6 運送規則の世界的統一

危険物運送規則は、国際間及び運送モード間において統一されています。我が国では、危規則及び航空法に定める危険物運送規則が国際規則に整合されています。

本テキスト2ページの 図1.1「危険物運送に関する国際機関及び国際規則」を参考にして下さい。

 

7 結論

危険物の運送は、原則禁止です。危険物の運送を可能にする唯一の鍵は、運送規則の順守です。規則で定める諸要件に対して危険物の運送を依頼する者(荷送人)と 運送を引き受ける者(運送人)がそれぞれの責任を正確に果たすことにより、規則への適合が確保され安全でスムーズな危険物の運送がはじめて実現します。

本テキスト75ページ 第3章 3.2.1.20 まとめ(荷送人及び船長の義務)を参照して下さい。

以上

 

 

 

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