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(7.4) グレイ教授の調査によれば1997年から1999年の間発生した過半数の火災がBPに係わっていることが示されている。現在、IMDGコード上BPの容器包装にバッグの使用を許可している。バッグが裂けた場合有機物と接触することにより火災の原因となるので、他の次亜塩素酸カルシウムにおいてすでに規定されているのようにバッグの使用許可を除外するよう勧告する。

10.3 航海中平均気温が35℃に達することが予想される場合、次亜塩素酸カルシウムを積載するコンテナ内の温度を制限するための追加措置を取ること。例えば、通風換気又は機械的冷却、あるいは、コンテナ一個当たりの積載重量を14トン以下に制限すること。

[引用パラグラフ]

(5.4) 本調査研究によれば、水和物HCHのCAT(20ftコンテナ内40kg収納容器使用の場合)は、37℃である。長期間外気温度に関する過去の実績は、航海中にこのような条件のCATに近づき又は超える場合があることを示している。通常、貨物がこのような温度に曝される期間は制限されるべきであるが、船舶においてはスケジュールが遅延する可能性があるので、CATを超える外気に曝されてしまう状況が生じ得る。このような場合、該貨が爆発的に反応(runaway reaction)してしまうことになる。従って、航海中外気温度が35℃に達するような場合、水和物HCHの積載量をコンテナ当り14トン以下に制限することを勧告する。あるいは、輸送物のサイズが大きい場合(例えば45kg正味質量より大きい場合)は、コンテナ内温度を制限するための追加処置(例えば、通風換気又は冷却)を講じること。

(6.1) 10.2参照。

(6.2) 10.2参照。

10.4 次亜塩素酸カルシウムを収納するコンテナは、20ftコンテナとすること。(40ftコンテナを使用しないこと。)

10.5 UN 1748、UN 2880及びUN 2208の品名の次亜塩素酸カルシウムを海上輸送する場合、船会社への船積申請時に次を添付する要件をIMDGコードに規定すること。

(a) 「熱安定性について」及び「有機物及び金属酸化物を含む危険性に影響を及ぼす含有物が含まれていないことについて」の認可された当局による証明書。

(b) 貨物の収納日及び収納時の周辺温度に関する製造証明書。

10.6 IMOは、UN 1748、UN 2880及びUN 2208の次亜塩素酸カルシウムを収納するコンテナに関し、輸送時の最高温度を制限するための実際上の措置を決定する調査を開始すべきである。可能性のある処置としては、コンテナ内の強制通風(冷却の有無の如何にかかわらず)又は十分な温度管理が含まれる。

10.7 IMOは、無水次亜塩素酸カルシウム(UN 1748)及びBP(UN 2208)の海上輸送に関する危険性を明確にするため更に調査をすべきである。

10.8 UN 1748、UN 2880及びUN 2208の品名に割り当てられている次亜塩素酸カルシウム製品の分類について、クラス4.1(自己反応性物質)、副次危険性クラス5.1(酸化性物質)として再分類することを念頭に置き検討すべきである。

ANNEX

水和物次亜塩素酸カルシウムの熱的特性の研究(UN2880)

主要点: この論文の目的は、小委員会がIMDGコードの該当要件の変更について検討するために、水和物高度次亜塩素酸カルシウムに関する熱的分解特性について説明することである。1970年後半から議論されてきた本物質に関する化学的調査及び現状の調査計画の概要が含まれている。

小委員会に要請すべき処置: 積載要件及び容器包装方法の変更を含むIMDGコードの分類の見直し。

4 現時点における一般的結論

4.1 水和物HCHは低い温度(約110℃以下)で分解反応し、これ以上の温度における反応とは全体的に異なる。

4.2 低い温度における分解は、高温における反応と著しく異なる動的及び熱的特性をもっている。

4.3 低温状態にある時は、高温において生ずる反応は無視できるぐらいゆっくり反応している。低い温度において全く違った反応が生ずるが、高温においては激しく反応する。このように低温範囲と高温範囲では、異なった熱の発生反応が生ずる。80℃から100℃の狭い範囲においては、両方の反応を生ずる。低温における反応は、80℃以下で、高温における反応は100℃以上で生ずる。

4.4 4.3で見られた2つの異なる反応は、研究所において実施された水和物HCHの標準小スケール/高温試験が、間違った結果である危険性があるというぐらい非常に厳しい結論となっている。

4.5 水和物HCHの比較的高い熱伝導を有する性質により容器/空気及び空気/コンテナ/空気の境界面において生ずる自己発熱による熱量の放熱が妨げられる。

4.6 4.5は、容器あるいは容器構成材の臨界周辺温度が、コンテナ内における状態及びコンテナが積付されている場所によって、即ち大スケールの状況において微妙に影響を与えていることを意味する。

4.7 上記のコメントは、米国、日本及び中国製の水和物HCHの現行のバリエーションにおいて試験されたすべてに当てはまる。

 

 

 

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