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4.8 高温における反応は、上原報告の無水HCHに近い反応である。

4.9 水和物HCHを収納している臨界周辺温度が、収納物の正確なサイズに係らず30℃から45℃であることを証明した。

4.10 4.9から航海中CHC貨物が発火するかどうかの決定要素は、積載時のHCHの初期温度であることが明白となった。すべての貨物が特別臨界となりうるが航海中発火しないのは、積載時の貨物初期温度及び周辺船倉温度の関係により時間が不足しているだけである。有効塩素を分析することにより豪州において販売されている水和物HCHのかなりの割合でメーカーの保証数値より低いことが分かっている。これらの結果より水和物HCHの分解が航海中生じていることが示されている。このことは、また、我々が試験した有効塩素60%の物質の臨界周辺温度が有効塩素65%の物質の測定値より2℃高いことを意味している。

付録: 研究報告の要約

本研究報告の中に水和物次亜塩素酸カルシウム(UN2880)の熱的特性を研究した結果が概説されており、すでに審議されている。1982年本物質がIMDGコードに取り入れられた初期の頃の背景が含まれている。本物質が積載されている20ftコンテナに関するCATが従来認識されていた温度よりかなり低いということが結論された。小委員会に水和物次亜塩素酸カルシウムのIMDGコードの分類を変更するよう要請する。

 

DSC 5/3/30 (米) 次亜塩素酸カルシウムの運送

○主要点: 次亜塩素酸カルシウム北米製造者からの情報(当該物質の特性、海上輸送経験及び現行の輸送要件の妥当性について)

○委員会への要請事項: パラ3

○関連文書: DSC5/3/6

1 米国は、DSC5/3/6に関する海上輸送に係る話題に対して取り組んだ次亜塩素酸カルシウム北米製造者からの情報を受け取った。当該物質の特性、分類、容器に関する考察、海上輸送の実績、該貨のIMDGコード要件の改正提案に関する見解と共に現行IMDGコードの妥当性に関する情報を含んでいる。本文書は、IMOガイドラインの手続き方法に基づいて提案されている。

2 付録に収録されている情報は、すでに提出されている提案に対して米国独自の立場を表明するために提出されたものではなく、本件について検討が予想される審議にとって重要であると考えられる。

3 小委員会に本情報を本件についての問題点の検討時に考慮するよう要請する。

付録: 次亜塩素酸カルシウム製造者北米グループからの情報

1 前書き

1.1 (略)

1.2 この文書は、「standard testing protocol」改訂版に基づいてDSC5/3/6について議論を展開するものである。

2 海上事故データ

2.1 DSC5/3/6は、次亜塩素酸カルシウム(UN2880)の再分類及び輸送の制限を正当化する証拠として、1991年から1999年までに火災を生じた9隻の船舶に積載されていた該貨の存在を用いている。しかしながら、UN2880を積載していた船舶が9隻の内2隻の事故(DG HARMONY及びCONTSHIP FRANCE)に過ぎないことに注目することが重要である。どちらのケースにおいても、すべての調査が完結していないので、共通の結論を引き出すことは、時期尚早である。しかしながら、どちらのケースにおいても次亜塩素酸カルシウムが蒸気ライン、ヒーティングコイル及び/又はヒーティング燃料タンクの付近及び/又は上部に位置する船倉に積載されていたことが知られている。

2.2 DG HARMONYに関するブラジル海事当局の調査は、いくつかの危険物の積載方法に誤りがあったことを引用していた。

2.3 DSC5/3/6で引用されている約半数の火災事故が、BP(UN2208)に関するものであるにも係らず、BPに関する研究が本文中に含まれていない。北米次亜塩素酸カルシウム製造者は、UN1748及びUN2880のみを製造しており、これらについては、1970年代後半から1980年代にかけて十分にIMOの場で検討された。我々は、BPを製造していないし、その輸送に係る特性及び試験方法に係っていない。更に我々は、DSC5/3/6で引用されているUN2208に係っていると言われている火災の状況について知らない。従って、該貨に関する我々のコメントは、全く制限されたものとなる。もし、これらの火災の原因としてUN2208が関係するならば、証明はできないが、おそらく分類の状況を見直すべきである。

3 次亜塩素酸カルシウムの特性

3.1 (略)

3.2 UN1479(その他の酸化性物質)(活性次亜塩素酸カルシウムが60%を超えるもの)は、水分値が10%を超える場合に使用されている。

4 品質保証及び証明書 4.1〜4.2(略)

 

 

 

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