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.2 もし、通風換気を維持することが船舶又は貨物に危険を及ぼす場合、通風換気の中断のために爆発の危険性又は他の危険性が生じる場合を除き、中断することができる。

.3 連続通風換気が要求される貨物輸送を行う船倉は、要求時に開けた状態を維持できる開口部を設けなければならない。係る開口部は、閉鎖装置を有しない場合、改正LL条約の要件を満足しなければならない。

.4 通風換気については、排気された危険性ガス、蒸気又は塵埃が居住区に到達しないようにしなければならない。排気された危険性ガス、蒸気又は塵埃は、適切な注意がなされた場合を除き、作業区画へ到達してはならない。

9 小委員会にこれらの情報を銘記し、該当する処置を執るよう要請する。

 

DSC 5/5/1 (オーストリア) 液状化物質に係わる事故の調査結果

○主要点: 本文書は、銅精鉱の液状化により沈没した船舶の喪失について通知し、3つの明確な結果を重点的に取り扱っている。

○小委員会への要請事項: パラ4

○関連文書: Res.A.713(17)、Res.A.797(19)

1 1998年、オーストリア船籍の小型船が銅精鉱の貨物移動により沈没した。本件は、徹底的に調査され、これらの調査結果はBCコード改正の過程において重要であると考える。

2 これらの結果は次の3事項である。

.1 ある国において船長に十分な貨物情報を提出していないこと。

.2 BCコード8.3節に概説されている液状化の危険性を評価するための補助的方法の適合性についての疑い。

「8.3 船長は、貨物の外観又は状態から積載上安全性について疑義があれば、船上又は岸壁上で次の補助的方法によって流動の可能性をおおよそ判定するためのチェックを実施することができる。貨物の試料を半分入れた円筒形の缶又は類似の容器(0.5リットル〜1リットル入り)を片手に持ち、約0.2メートルの高さから堅い面(例えば、堅固な机のようなもの)に素早く打ち下ろす。この方法を1〜2秒間隔で25回繰り返す。そして試料の表面を点検し、遊離水又は流動の程度を調査する。もし遊離水又は流動状態が認められる場合は、積載を容認する前に試験所で水分測定を行わなければならない。」

.3 鉱物精鉱は、船倉内において液状自由表面の様相を呈するだけでなく、一見表面が乾燥し明らかに安全な表面である場合でも湿部の荷崩れを生じ得るという精鉱の液状化に関する危険性の伝統的な記載事項への追加。

3 オーストリアは、付録に詳細な情報を提供している。

4 小委員会へ付録に記載されている情報及び結論を銘記し、該当する処置を執るよう要請する。

付録

1〜12 (略)

結論

13 港湾当局に精鉱の海上輸送に関わる荷送人、海運代理店及び海事事業者へBCコードの要件及びSOLAS条約第VI章第2規則の荷送人の義務に注意することを通知する必要性があることは明白である。

14 船員は、現在においてもしばしば鉱物精鉱の特性に係わる水分値に関する不十分かつ信頼性の低い荷送人からの情報に直面する。船員は、この場合BCコードパラ8.3に推奨されている補助的方法又は幾分逸脱した方法により液状化の危険性を判定する。この慣習に、特に推奨する方法でさえ、該当する安全レベルに対する警告をいつでも与えることができないという観点から疑問を呈する。

15 鉱物精鉱の液状化した場合の挙動及び船舶の復原性に対する前兆は、船員及び関係者の意見によれば、自由水の効果に極めて近いと言われている。この考え方は、多くの場合において適切であるが、周知の液状化のメカニズムを十分に反映していない。今回の事故のケースは、船倉底部に位置する層において圧密され、貨物の空隙が完全に水分により満たされた湿性鉱物精鉱は、積載区域に傾斜が存在すれば飽和した層の上をスライドし得ることを示している。上部の層は、引き続き乾燥し安全な状態のように見える。

16 この新しい考え方は、最早液状自由表面の挙動を考えず、硬い水密性の面又は岩盤上において水分により飽和状態である場合に湿性の荷崩れが生ずるという周知の現象に関連されるべきである。この考え方は、船会社及び船員が非常の措置を実施する場合及び液状化の兆候を示す鉱物精鉱の危険性を評価する場合において考慮されなければならない。海事関係の教育及び訓練制度においても注目すべきである。

 

DSC 5/5/2 (ベルギー、蘭) 硝酸アンモニウムに係わる隔離及び積載要件

○主要点:ばら積み硝酸アンモニウム(UN1942)及び硝酸アンモニウム肥料(UN2067,2068,2069,2070及び2071)の海上輸送におけるEmSは、火災に際し通風換気を最大に行うためにハッチを開くよう指示している。他の貨物が、甲板上に積載されている場合、火災に際しハッチを開くことができない。このような状況は、危険性を増し、船舶及び乗組員のための安全性に対して危険に曝すことになる。このような積載方法の慣習を避けるためにBCコードを改正する提案を行う。また、積載前に行うべき箱型船舶の燃料油タンク付近の圧力試験に関する測定に係わる特別要件を改正する提案を行う。

 

 

 

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