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○渡辺  今の白石先生の意見に賛成です。しかしそのときに注意しなければいけないのは、日本が異質の国だということだろうと思います。さっきの繰り返しになりますけれども、明らかな形で日本がリーダーになることに対しての反発は非常に大きい。そういう意味で、ASEANプラス3の中で、お互いに分をわきまえた形でのリーダーシップが非常に難しいところだろうと思います。その説明の仕方、実行の仕方、すべて含めてリーダーシップという問題、これは別の機会に議論したらいいのではないかと私は思います。

○モデレーター  最後になりますが、千野さん。これでもう時間がいっぱいになりますから。

○千野  確かにインドネシアは大国ですし、ASEANの中で大事なのはもっともなのですけれども、これからのASEANというのは、よく私たち原稿を書くときに「ASEANの盟主スハルト」と枕言葉のように書いてきたのですけれども、おそらくそういう形ではなくなるであろう。インドネシアだけが突出した形のASEANではなくなるであろうと思います。

○モデレーター  ありがとうございました。

リージョナライゼーションという言葉を伺って考えるのですけれども、アジアの中で安全保障の面ではARF(ASEANリージョナル・フォーラム)というのがありますね。これはASEANが呼びかけた形でだんだんリージョナル・フォーラムというものが固まってきて、それぞれ成果を上げるようになってきたということ。あれはASEANプラス3、ASEANプラス日、中、韓、これは非常におもしろい動きを示すようになりかかっている。これは将来どのように動いていくのか。それを日本がどのようにうまく進めていくのか。その際にアメリカとの関係をどう考えていったらいいのか。非常に大事な点をもちながら、リージョナライゼーションが事実上進んでいくことがおそらくこれからの動きだろう。その中で、日本が周辺諸国との関係を考え、アメリカとの関係を考えながら、経済的な力を背景として、いかにうまくアジアの中で役割を果たしていくかということが一番大事なのではないかなと、皆さんの議論を伺いながら考えたわけです。

ちょうど時間になりましたのでそろそろおしまいにしたいと思いますけれども、もしフロアの中でどうしてもという方がおられましたら。これを最後にいたしたいと思います。

○質問者-3  最後に東ティモール問題についてお尋ねしたいと思います。

白石先生は昨年9月の段階で、現地の複雑の情勢を背景として日本の関与については否定的な見解を示されていたと思うのです。その点は渡辺大使と考え方が異なるのではないかと思いますけれども、UNTAET[編集者注:国連東ティモール暫定統治機構]の活動によってかなり現地情勢が落ち着いてきた現段階で、今後のUNTAETの活動に日本として関与する余地があるのかどうか。今後の国際協力面において日本がいかなる役割を果たすべきなのか。また、それが日本のナショナル・インタレストの増進につながるのかどうか。この点をいかにお考えかお尋ねしたいと思います。

 

 

 

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