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○白石  私のように岡目八目の人間にとっては歯がゆいところがあるのですけれども、私も正直いいまして全く同感です。実際問題として政治的にはアメリカがイニシアチブをとって、それを日本が支援していくような形でしか、今のところはできないのだろうと思います。

ただもう一度申し上げますけれども、おそらく今、東アジアの地域で要請されているのは、北朝鮮のような軍事の問題もありますけれども、少なくとも東南アジアについては警察と情報収集というのが非常に重要な問題になっているということはもう一度確認しておきたいと思います。

○モデレーター  渡辺さん。

○渡辺  確かに榊原さんのいうように政治的な問題、これは米国の政治的な介入を必要とするのですけれども、果たして米国の国内にそれだけの用意、知識、あるいは関心があるかという問題が一つ問われていいのだろうと思います。日本からみれば、アメリカがそこに政治的にも介入してもらう必要がある。経済的にはあまりリターンがないかもしれないけれども介入してもらわなければならない。しかし、プリペアードネスが米国にない場合に、日本が米国をそれに引き込んでいく、この可能性というか、必要性は高いだろうと思います。

また同時に、経済面で日本が果たす役割というのはもともと大きいわけで、それが国際的な枠組みとあまりにも敵対して、反発を受けるような形にもっていかないようにすること。そういう意味では、日本の役割というのが、今の榊原さんのいう矛盾の解決に多少とでも役立つ、そういう可能性は私はあるという気がいたします。

○千野  榊原さんからアメリカなしにはできないと、あまりはっきりいわれてしまうと、日本人としてはといいますか、日本としてはちょっと残念というか。確かに大きな文脈においてはそうではあろうと思うのですけれども、私自身がシンガポールにいた当時橋本首相がみえまして、ASEAN外交についてスピーチをいたしました。タイトルは「拡大と進化」ということだったと思うのですが。それから、最近、小渕首相がインドシナのを訪問して、ここでまたASEAN外交というものを示した。東南アジアの受け止め方ですが、空気としては非常に変わってきている。北東アジアにおいてはまだ非常に大きな難しい問題があるわけですが、ASEANという地域においては、特にアジア経済危機という不幸な出来事の日本にとっての意味があったとすれば、ASEANとのかかわりを深めていくということだろうと思います。

 

 

 

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