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では、どうしたらいいのだろうか。社会的な連帯を作り上げる、これはほとんど不可能な話です。そうすると、権威のある能力のある国家を作るしかないのではないか。そのためには制度づくり、人材養成と並んで制度づくりということがかぎになるだろう。例えば日本政府はインドネシアに対して、マクロ経済政策をやるためのエコノミストの養成ということではいろいろな形で援助してきたと思います。けれども、例えばインドネシアの警察はひどいものです。インドネシアの警察をちゃんとインドネシアの人たちに信頼できるような警察に変えていくにはどうしたらいいのか。私は日本の政府は随分いろいろなノウハウをもっていると思うのですね。そういう協力が日本としてはできるのではないだろうかと思います。

最後に連邦制ですが、これは「連邦制」という言葉をおそらくいわない。けれども、デファクトの連邦制にもう移行し始めている。問題は、そこでちゃんとおさまるかどうかというのが、実は一番のみどころになっているのではないかと思います。

○モデレーター  ありがとうございました。

あと、経済問題といいますか、IMFの役割、その他問題ありますが、今の政治関係、あるいはインドネシア情勢について、フロアの方、何か質問がおありでしたらどうぞ。

○質問者-1  白石先生にお伺いしたいのですけれども、先生も今おっしゃいましたが、最近インドネシアの融合化ということを懸念する方がいらっしゃるわけですけれども、そうなった場合、デファクトであろうと何であろうと、今議論されたような連邦制への移行が平和的に行われればそれにこしたことはないわけですけれども、それがそうでなかった場合の国際社会の対応、大変な虐殺など行われたというようなことがもしあるとして、コソボでみられたような人道介入ということが、私はそれは多分不可能だと思いますけれども、議論になるのか。あるいはそうでなくて、インドネシアのインテグレーションを維持するために、モスクワがチェチェンにやっているような行動を国際社会が是認するようになるのか。多分、両方ともなかなかそういう合意は難しいのだと思うのですね。

とすれば、インドネシアのインテグレーションが崩壊していくのを国際社会は座視していくしかないのか。その辺について、どのような見通しが一番あり得るのかという点をお伺いしたいのですけれども。

 

 

 

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