具体的な点について、こういうときにおまえはどうして黙っていたのだとか、もっと働かなかったのかという話がありましたら、喜んでお答えさせていただきます。ご静聴ありがとうございました。
○モデレーター ありがとうございました。渡辺さんがいわれた民族国家の問題、まさに我々が今回基本的テーマとして考えておりました「多元的国際枠組」という問題に深く関与する大事な問題をご指摘いただいたと思います。国家というものが厳として存在しながら、なおかつ最近のグローバリゼーションという中で、あるいはインフォメーション・テクノロジー、インターネットの普及を通じて、国際的なNGO間のコンタクト、接触、連携がふえることによって、国家というものの存在にまた別な見方が出てくるという状況の中で、今、大変貴重なご指摘をいただいたと思います。
それでは、一通りのプレゼンテーションをいただきましたので、引き続いて4人のパネリストの間でディスカッションを続けていただきたいと思いますし、その他の参会の方々にも随時ご参加をいただきたいと思います。
皮切りに私が質問させていただきたいと思いますのは、インドネシアの問題について、榊原さんは、基本的にはワヒド大統領のもとでいい方向に動いていると思う、問題は国軍との関係だと指摘されました。白石さんからは、基本的な問題は政治に対する信頼をどのように回復するかということだと、こういうご指摘があったし、渡辺さんの今の話もそういう観点でのお話だったと思うのですが、一体、そういう問題の中で、インドネシアは今後どういう方向にいくのか。例えば、ウィラント調整相の首を切るなどという話が最近新聞に出てきますけれども、国軍との関係でそういうことは一体どう考えたらいいのか。そういう問題、インドネシアの内情について少しお話をいただければと思います。
○白石 おっしゃるとおりなのです。政治に対するインドネシアの多くの人たちの信頼、私の言葉でいいますと国家の機構に対するインドネシアの国民の信頼を回復しなければいけないといったときに、アチェを例にとるといいわけですけれども、アチェでは分離・独立運動は1970年代の半ばから始まります。1980年代の末頃の勢力は300人ぐらいだったそうです。ですから非常に小さい分離運動です。こんなものは軍隊を投入しなくとも警察力で十分対応できる程度のものだったのですけれども、そうすると軍に予算がつかない。