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その次は、千野境子産経新聞社論説委員でございます。千野さんは産経新聞社の編集局編集委員兼論説委員でございますが、これまでにマニラの勤務、ニューヨーク支局長、シンガポール支局長などを歴任され、今日は地域問題に詳しいジャーナリストとしてのお立場から、政治、経済両面から、インドネシア問題、ASEANの問題についてお話をいただきたいと思っております。

最後になりましたけれども、渡辺泰造青山学院大学教授でございます。現在、青山学院大学で教鞭をとっておられますが、それより、我々にとっては長年外務省で大活躍されたということで記憶に残り、外務報道官、エジプト大使、あるいはインドネシア大使等のご経歴をお持ちでございます。今回は、アジアに勤務された大使としての経験をもとに、インドネシアの問題、そして東アジア全体の問題について幅広くお考えを聞かせていただければと思っております。

以上、パネリストのご紹介をさせていただきましたけれども、早速、榊原さんからお話を伺いたいと思います。榊原さんお願いいたします。

○榊原  榊原でございます。このセミナーの目的のように、インドネシアの政治状況と経済状況とは必ずしも分けて考えるわけにはいかないのですけれども、私はどちらかというと経済とか国際金融の問題を中心に、インドネシアの危機、あるいはIMF等が果たした役割についてお話ししたいと思っております。

結論から申し上げますと、私はインドネシアの国際金融危機は避けることができたと思っております。もちろん政治的にいうと、スハルト大統領の健康問題とか、あるいはスハルト大統領の家族、あるいは側近のクローニズムとか、いずれ崩壊するプロセスにあったのだという結論は出るかもしれませんけれども、あの時期に国際金融危機に巻き込まれることは避けることが可能だったのではないかと私は思っております。

これは幾つか理由があります。白石さんなどが専門家ですけれども、インドネシアの経済政策というのは大変新古典派的で、自由主義的な物の考え方をするテクノクラート、ウィジョヨさんとかワルダナさんとかという、かつてバークレーマフィアと呼ばれた方たち、あるいはインドネシア大学エコノミストたち、そういう人たちによって代表される人たち、それから、かなりナショナリスティックに経済政策を運営しようとするスハルト周辺の人たち、ハビビさんなどもそうでしたし、そういうところに割にナショナリスティックなものの考え方をする人たちがいた。

 

 

 

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