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政治、安全保障の分野では、国連が果たすべき平和維持機能の問題、あるいは地域機構の役割という側面を含めまして、多元的な国際枠組みのあり方について非常に難しい問題が生じているように思います。

特にインドネシアにおきましては、東ティモールの分離・独立に伴う問題に加えまして、インドネシアの他の州においても混乱が続いている状況であり、かなり難しい局面がみられるように思います。

この点に関連しましては、ユーゴスラビアのコソボ自治州に対するNATOの軍事介入が、国家主権と人権問題への外部からの介入というような重大な問題につきまして大きな波紋を投げかけたことも記憶に新しいわけであります。

このような最近の国際情勢を背景といたしまして、本日の公開シンポジウムでは、主として、最も注目を要する点の一つでありますインドネシアに焦点を当てまして、種々の角度から、ここにお集まりいただきました4人のパネリストの方々にご議論をいただこうということでございます。

パネリストに一当たりご討論いただいた後に、時間の許す限り、ご来場の皆様からもご質問をちょうだいする形で会議を進めてまいりたいと思いますので、ぜひ活発なご参加をお願いしたいと思います。

討論に先立ちまして、恒例でございますので、本日お迎えしましたパネリストの方々を簡単にご紹介させていただきます。

皆様から向かいまして左側に、榊原英資 慶応義塾大学教授がいらっしゃいます。今さらご紹介するまでもない著名な方でございますが、恒例に従いまして簡単に申し上げますと、大蔵省の財務官として国際金融問題で大変ご活躍になっておられました方ですが、今回は慶應義塾大学の教授として、また、最近まで大蔵省の財務官でおられたお立場から、インドネシアの金融危機の問題を中心にいたしまして、IMFの支援、わが国が果たすべき役割などについてご発表していただけるかと思います。

その次は、京都大学の白石隆教授でございます。白石教授は京都大学東南アジア研究センターの教授であり、ご専門は国際政治学でありますが、中でも、インドネシア問題については日本で有数の専門家でいらっしゃいまして、先ほど伺いますと、つい最近、12月にもインドネシアを訪問して、お帰りになったばかりということだそうでございます。政治学の立場から、インドネシアにおきます東ティモールの独立問題、地域秩序と安全保障の問題等を中心にご発表いただきたいと思います。

 

 

 

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