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―インドネシアとネーション・ステート、国際社会―

渡辺教授は、先進国はインドネシアの問題を考える際に経済的なものについてだけではなく、政治・社会的な配慮に欠けていたとした。その上で、第二次世界大戦後に独立したアジア諸国は、そもそも欧米や日本などと同様のネーション・ステートといえるかという問題があることを指摘し、同様な問題は、他の発展途上国の多くにも存在することに理解を求めた。また、東ティモールの場合はポルトガルが一方的に放棄してしまった植民地という歴史的な背景があり、特殊な事情を考慮すべきであるとした。

―質疑―

会場の参加者を交えての討議では、今後のインドネシア情勢については連邦制が現実の視野に入ってきたことや国軍の動向が重要な鍵となること、一般論としてネーション・ステートが維持されるためには社会的な連帯もしくは国家の権威が必要なこと、ASEAN各国には地理的、社会・経済的な相違が大きいこと、地域主義(リージョナリズム)と地域化(リージョナライゼーション)などが話題となった。

 

 

 

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