―米国の態度―
米国のこの問題に対する基本的な態度は、大きな中国が小さな台湾を力で制圧するのは大変に悪いことであるというものであり、1996年の台湾総統選に対する中国の威嚇への米国の介入は、米国の台湾問題への強い意思を示しており、クリントン大統領の北京へのメッセージだった。しかし、クリントン大統領は先の李総統発言を好んでおらず、メッセージが存在しないかのような態度をとっている。米国と中国の間には多くの問題があり、例えば先日米国が発表した、宗教的な少数者に対する差別が行われている国の中にも、イランやイラクとともに、中国を名指ししている。台湾については、専制的な体制から民主的な政治体制に移行したことについて評価しており、それが米国の台湾支持の理由となっているのだろう。しかし、米国は中国・台湾間での緊張を望んでおらず、また、米国は中国に大きな経済的な利害を有している。
―この問題の複雑さ―
戦略的に、また経済的な意味からして、両岸関係は両者にそれぞれの事情を有しているが、両者ともに注意深く対応している。ここ2〜3か月、中国には北朝鮮高官が数多く訪問しており、何らかの政治的な動きがあったようである。台湾での先の地震は台湾が世界有数のコンピューター関連のハイテク産業地域であることを証明しており、世界各国が中国に圧力をかけることの原因の一つとなっているのだろう。
―日本の対応―
日本政府は中国との関係に配慮しながら台湾との関係も良好に保っており、台湾問題について、ついてよく考えられた、非公式の方法で対応している。中国についての政策はより困難なものであり、北京は日本のことを1990年代というよりは、あたかも1940年代であるかのようにみており、先のガイド・ライン問題でより複雑化したようである。朝鮮半島情勢は依然として注意を要するものであり、安心できる状態ではない。インドネシアでは混乱が生じている。日本はよく統合された政策をとっており、地域の緊張緩和に貢献している。中国については、中国を国際社会に連れ戻すことにおいて十分に貢献すべきだろう。