―ユーロに関わる今後の見通し―
黒沢会長は、さらにユーロに関わる今後の見通しについて言及し、今後の国際通貨体制においては、対ドルレートの他、対円でもユーロがこれ以上弱くなることはないのではないかとの見解を示した。
また、これに関連して、ヨーロッパの資本市場では、さらにユーロ建ての起債の優勢が続くとの見解を示した。また、興味が集まっている英国のユーロ参加については、有識者では加盟支持が多いことを指摘した上で、こうした事実が、幅広い浸透をみせ、大衆レベルでの支持に繋がるには時間が掛かるであろうとの現地の見方等を紹介し、講演を締めくくった。
―英国のユーロ加盟問題、円への影響(補足:質疑)―
最後に、質疑応答が行われ、まず英国のユーロ加盟の見通しに関し質問があった。黒沢会長は、冒頭、英国のユーロ加盟は避けられないとの見解を示した。
次に、ユーロ誕生後の円への影響として、ユーロの誕生により、円がさらなる投機対象となる恐れはないかとの質問があった。これに対し黒沢会長は円の外貨準備増加等の要因があるので心配する必要はないのではないかとの見解を示した上で、一方、過去にもみられたドルの不安定性の問題は引き続き残る可能性が高いと回答し、質疑を締めくくった。
本講演を行っていただいた黒沢前興銀会長は、本年1月2日にがんのため逝去されました。黒沢会長は前興銀頭取として産業金融の変革期に直面し、最後まで国際舞台で活躍されておられました。謹んでご冥福をお祈りいたします。