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【約款の整備】

輸出入貨物を取り扱う外航貨物海上保険は自由料率/自由設計の商品であり、物流の実態/顧客ニーズに対応すべく数多くの特別約款が作られてきました。損害保険会社としては、EDI化に備えて特別約款の整備・コード体系化しておく必要があります。

 

7-1.保険関係の電子化

 

Q7-1-2:電子化された後に海外でクレームが発生した場合、クレーム手続きはどの様にすればよいのですか。

損害保険会社は、海外で発生するクレームを迅速に処理すべく世界各地に損害査定代理店を設置して顧客サービスの充実に努めています。海外でクレームが発生した場合には、保険金請求者は、損害査定代理店に事故通知を行い、クレーム処理の為に保険証券のみならず船積書類(船荷証券/インボイス/パッキングリスト等)のコピーを提出しなければなりません。クレーム書類を受領した損害査定代理店は,立会調査(損害状況の把握と損害額の協定)を行い、鑑定書(サーベィレポート)を作成して損害保険会社の本社又は海外査定拠点(London、Amsterdam、New York、Singapore)、あるいは統括査定代理店に送付して保険金請求者に保険金が支払われます。

【電子化された後の海外クレーム処理】

電子化された後の海外クレーム処理については解決すべき多くの課題があります。

1.電子化されたクレーム書類の有効性と証拠能力

電子データ取引を行う当事者間では電子データの有効性と証拠能力を認める旨の事前合意がなされるが、電子データ取引の当事者間の枠外に出た場合は如何に。

2.電子化されたクレーム書類の損害査定代理店への提出

損害査定代理店を電子データ取引を行う当事者に含ましめ保険金請求者が電子化されたクレーム書類をそのまま渡せる様にするのか、保険金請求者が電子化されたクレーム書類を紙に打ち出して(SWICH TO PAPER)従来通り紙で渡すのか、前者の場合には費用対効果は如何に。

3.電子化されたクレーム書類のデータ改竄

電子化されたクレーム書類(特に保険証券)の途中のデータ改竄がないことを損害査定代理店にどの様に確認させるか、損害査定代理店が電子化されたクレーム書類をそのまま信用してクレーム処理をした後に保険金の二重払いが発覚した場合の責任関係は如何に。

 

 

 

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