また更に「当該文書は対象とする唯一の物品を証明するもので、複製して別の物品の証明に使われてはならない」と言うビジネス要件を満たそうとするならば、原産地証明書が使用される度に、当該証明書発行機関による確認ができる仕組みを導入しなければならないかも知れません。
5-1.電子情報化の課題
Q5-1-3:電子化後の船荷証券、保険証券等の印紙税の取扱はどの様になるのですか
我が国の印紙税法においては、印紙税が課税されるのは課税文書に限られます。課税文書とは、印紙税法第2条別表第1に掲げられている文書により証されるべき事項が記載されたもののうち、非課税文書に該当しない文書をいいます。
質問にある船荷証券は印紙税法第2条別表第1の9号「貨物引換証、倉庫証券又は船荷証券」により、保険証券は同10号「保険証券」により課税対象ですので、当該課税文書を作成47した際は、作成者は夫々1通につき200円納税する義務を負い、納付しなかった場合は過怠税48を徴収されます。(なお、船荷証券の謄本は印紙税法第5条により非課税)
質問は船荷証券及び保険証券を電子化した場合はそれらを課税対象文書とみなすかどうかの問題です。結論からいいますと、それらが単に電子状態で記録、管理、送受信されている情報である場合は、たとえ船荷証券及び保険証券と同等の機能としてシステム化された場合であっても、現在の印紙税法では課税文書としてはみなされません。従って印紙税は課税されません。
但し、以上のことは印紙税法において明確に述べられていることではなく、また通達等で公式に出されている見解でもありませんが、現行印紙税法からの理論的解釈及び週間税務通信(平成10年8月3月号)における国税庁当局のインタビュー記事による見解から判断されることです。その記事によれば、インターネット等の電子情報による取引は「あくまでもデータのやり取りにすぎず、印紙税の本来の課税文書である文書にあたらない」との判断が示されています。49
47 課税文書の作成とは、単なる課税文書の調整行為をいうのではなく、課税文書となるべき用紙などに課税事項を記載し、これをその文書の目的に従って行使することを言う。
48 課税文書の作成者がその納付すべき印紙税を課税文書の作成の時までに納付しなかた場合は、その不納税額の3倍に相当する金額(過怠税)を徴収されることとなる。
49 インターネット画面を利用した商品取引は例え印紙税の課税該当文書に該当する文言がある場合でも、あくまでもデータのやり取りに過ぎず課税対象外である。但しインターネットでの取引を別途文書にする場合には、その文書に付いて印紙税の課否判定が行われる。(週刊税務通信 No.25366、1998年8月3日)。