なお、何らかの事情で全部又は一部が滅失した電子式船荷証券の記録を復元し、再度電子式船荷証券(の記録ないしデータ)として流通させるという事態は、比喩的に言えば、汚損した船荷証券をまたきれいにするようなものであって、(喪失はしているが)現に船荷証券がどこかで存在している(可能性がある)のに、重ねて船荷証券を出すという、再発行という事態とは違います。
3.他方、2.とは別に、紙の船荷証券の紛失(正確にはむしろ盗取)に近い状態として、電子式船荷証券の権利移転・行使の前提となる「個人キー」(CMI Rules for Electronic Bills of Ladingの場合)ないし「秘密鍵」(Bolero B/Lの場合)などが無権利者に漏洩してしまう自体も考えられます。この場合は、当然その発覚と同時にそれらの使用を停止し、真権利者(「所持人」)宛に新しい「個人キー」「秘密鍵」を発給することになりましょう。
ただ、これは、紙の船荷証券で言えば、その保管をしていた金庫の鍵が盗まれて、いつでもそれを持ち出し裏書譲渡されかねない状況となった(但しまだ盗まれていない)ので、鍵を直ちに変えた、というようなものであり、船荷証券自体の紛失に問擬するものではないように思われます。