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しかし、凡そその裏書譲渡の可否というのは、船荷証券のような書類にとって根本的な事柄であり、さすがに、この点に関する限り、上記の曖昧さ(法制の違い)をそのまま持ち込んで済ませることは、妥当でないように思われます。電子式船荷証券というシステムをわざわざ構築しながら、その「裏書譲渡」の可否つまり基本的利用方法について、一定形式の電子式船荷証券の場合はっきりしないというのもおかしなものです。

従って、それはどちらかに決めざるを得ないでしょう。

5.なお、昨年実用化された(稼動開始した)Bolero B/LのRulebookでは、order B/Lとstraight B/Lという用語こそ出てきませんが、次のようなシステムを採用して、実質的に両者(下記1]2]と3])の区別を生み出し、かつ後者では裏書不可という規定になっています。

すなわち、最初に運送人が電子式船荷証券を「発行」する際には、1]To Order Partyを指定するか、2]Blank Endorseをするか、3]あるいはConsigneeを指定するかを必ず選び、1]の場合、その後そのTo Order PartyがHolderにも指定された時点(その際そのTo Order PartyはHolder-to-Orderと呼ばれます)から裏書譲渡(新たなTo Order Party等の指定又はBlank Endorse)が可能であり、2]の場合、その後Holderが指定された時点(その際その者はBearer Holderと呼ばれます)から裏書譲渡(新たなTo Order Party等の指定Blank Endorse)が可能であるとされるのに対し、3]の場合、Bolero B/Lは譲渡不能であり、運送人はそのConsigneeに貨物を引き渡すべしとされています。

6.他方、現在通産省の予算事業として進行中の国産の電子式船荷証券プロジェクト27であるいわゆるTEDIプロジェクト28の場合、その法的な枠組を規定するTEDI共通規約も作成途上ですので、まだ何とも言えません。

 

27 正確には貿易関係書類全体の電子化プロジェクト。

28 「貿易金融EDI共通基盤システム」開発プロジェクト及び「TEDI共通規約」作成プロジェクト。

 

 

 

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