4-2.運送・荷渡し等に際しての注意事項他
Q4-2-4:電子B/Lが船荷証券で無いとすると、荷送人が運送途中に運送中止や受荷主や仕向地の変更を指示して来た場合、運送人はどうしたらいいのでしょうか?
商法582条の[運送品の処分権]の問題ですね。
商法582条「運送品の処分権」
「1]荷送人又は貨物引換証の所持人は運送人に対し、運送の中止、運送品の返還その他の処分を請求することを得。…
2]前項に定めたる荷送人の権利は運送品が到達地に達したる後、荷受人がその引渡を請求したるときは消滅す。」
商法582条は、「荷送人又は貨物引換証の所持人」が運送品処分権を持つと述べていますが、これをより明確に整理すると、
船荷証券が発行されている場合:
船荷証券は、処分証券性を持ちますので、船荷証券が発行されている場合は、例え運送契約の当事者である荷送人であっても、船荷証券を持っていない限り運送品処分権を持ちません。
船荷証券が発行されていない場合:
当該運送には、荷送人/運送人間の運送契約のみが存在することになりますので、荷送人の運送人に対する債権が他の者に譲渡されない限り、「運送品が到達地に達したる後、荷受人がその引渡しを請求したるとき」迄の間は、荷送人が「運送品処分権」を保持することになります。
船荷証券が発行される場合、その所持人のみが「運送品の処分権」を持ち、運送人に対し処分を請求出来ますが、電子B/Lの場合、船荷証券同様に扱われるとは限らず、従って、その点、電子B/Lの権利者の地位は荷送人の運送品処分権に対する関係では弱い様にも見えます。しかし、この点に就いては、SEA WAYBILLの場合の「運送品処分権放棄」のケース等を参考にして対処出来るでしょうし、加えて、荷送人が運送人に対して持つ債権が、有効に譲渡された限り、運送人は、現在の権利者の指示に従う義務が有るのみですから、荷送人には、その様な指示をだす権利が既に無いことになります。