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この様に、その証券が表章する権利の内容が証券記載の文言だけで定まる証券を「文言証券」と言います。

(2)外航海運に適用される「国際海上物品運送法」の場合も、その9条に

9条(船荷証券の不実記載)

「運送人は、船荷証券の記載が事実と異なることをもって善意の船荷証券所持人に対抗することができない。」と定め、同様の効果を与えています。

=SEA WAYBILLの場合=

一方、SEA WAYBILLの場合、流通有価証券では無く、荷送人と運送人との間の契約の単なる一つの証憑に過ぎず、文言証券性は有りませんから、上記した船荷証券の場合の様に、荷送人と運送人との間の契約の実態から独立した、文言のみに基づく権利が存在する余地は有りません。

従って、たとえSEA WAYBILL上に“FREIGHT PREPAID”と記載されていても運送人は、契約の実態に従った主張が可能であり、もし運賃が未収の場合には、荷送人に対すると同様に、荷受人に対してもその事実を主張出来、従って、運賃未収を理由とする留置権の行使も可能となります。

因みに、この点をカナダのテトレー博士は、その著書「MARINE CARGO CLAIM」の第5章 「WAYBILLS」の987ページに、次の様に簡潔に述べています。

"UNPAID FREIGHT−CARRIER'S LIEN ON CARGO SUFFICE TO NOTE THAT IN PRACTICE, WHETHER THE FREIGHT IS INDICATED AS "PRE-PAID" OR NOT, THE CONSIGNEE WILL NOT BE PERMITTED TO TAKE DELIVERY UNLESS OUTSTANDING FREIGHT HAS BEEN ACQUITTED."

 

 

 

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