4-2.運送・荷渡し等に際しての注意事項他
Q4-2-1:電子B/Lの場合、船荷証券と比べて、荷渡の際に特に注意すべき点は有りますか?
大変重要な違いが有ります。例えば、日本法の場合、船荷証券には、商法519条による小切手法19条の準用が有ります。
小切手法19条(裏書の資格授与的効力)
「裏書しうべき小切手の占有者が、裏書の連続により、その権利を証明するときは之を適法の所持人と看做す。…」
従って、運送人は、相手が真の権利者か否かの調査をする必要は無く、裏書の連続をチェックすることだけに依って、相手が権利者か否かを判断すれば良い訳です。
しかも多くの場合、船荷証券は白地裏書されている為、無記名証券として扱える場合が多く、その場合、所持人を権利者と看做して、貨物を引き渡せば良く、万一、引渡した相手が真の権利者で無い場合でも、運送人は免責されることになります。
従って、船荷証券と引き換えにD/Oを渡せば誤渡しの責任が生ずる余地は有りません。
一方、電子B/Lの場合、上記の様な裏書の資格授与的効力は望めないでしょうから、荷送人から最終所持人までの間の権利の移転が有効に連続していることの確認に加えて、「電子B/Lの最終権利者として画面に表示されている者と、D/Oの発行相手が同一であることの確認」に関する責任・RISKは運送人にあることになります。
間違った相手に貨物を引き渡すことの無い様、注意する必要が有り、D/Oの誤発行が起らぬ様に、D/O発行業務を何らかの形で、電子B/Lのシステムに組み込み、連動させる必要が有るのではないかと思います。