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3-1.  電子商取引と船荷証券に関する問題

 

Q3-1-2:「運送契約や船荷証券に固有の問題」とは何ですか?

現在の法律・条約等は、殆どの場合、紙の証券による船荷証券を予定して作られており、書面性・署名の必要性・交付の必要性・裏書・交付による譲渡等が前提となっています。従って、電子B/Lは現行法上の「船荷証券」と看做されない場合が殆どでしょう。

例えば、わが国の場合、外航海運の船荷証券は、国際海上物品運送法の規定に従うことになりますが、

‐「荷送人の請求により」(即ち、荷送人が請求した場合には)

‐「一通又は数通を、交付しなければならない」(6条)

‐「運送人、船長又は運送人の代理人が、署名し、又は記名捺印しなければならない。」(7条)

ことになっています。

又、電子B/Lの問題は、必ずしも「現行法が遅れているのだから、現代化して、それらの条文を変えれば良い。」という程、簡単な問題でも有りません。例えば、船荷証券の機能の中には、「貨物引換請求権」と言う債権の譲渡を、指図証券化することによって安全・簡便した点が有ります。従って、証券を排し、電子化する場合、(紙の証券の場合の様な裏書交付という安全簡便な方式は採れませんから、)もともと債権譲渡に付き物の「債権譲渡の対抗要件」の問題が浮上してきます。

「債権譲渡の対抗要件」の問題とは、簡単に言うと、「債権が譲渡された事実」を債務者やその他の第三者(例:二重譲渡の場合の譲受人等)に主張出来る為には、どのような条件を満たしている必要が有るか?

債権が譲渡される迄に、債務者が元の債権者に対して主張出来た事実を新債権者(譲受人)に対しても主張出来るか?等の問題で、これらの問題は、船荷証券の場合には、「証券の単純な裏書・交付」や「船荷証券の準文言証券性」により、原則として生じ得ない問題でした。

 

 

 

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