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また、1976年にスウェーデンで開発された“Cargo Key Receipt”(CKR)も一種の海上運送状で、荷送人の「運送品処分権放棄」条項(NODISP)、運送人の「無故障」条項(CLEAN)および「担保」条項(SECURITY)を含んでいることが特徴です。売主は、CKRと引換えに、売主の取引銀行から貨物代金の代り金を受け取り、同行は荷受人である信用状発行銀行に必要なデータを伝送し、代金の支払と引換えにCKRを引渡します。運送人は着荷通知を荷受人(発行銀行)に伝えると同時に、着荷通知先(買主)にも連絡し、そこで、買主は発行銀行に貨物代金を支払い、同銀行の“Bank Release”によって、運送人から貨物を受け戻すというものです。しかし、このシステムも銀行の協力が得られず失敗に終わったのですが、この基本理念は1990年の「海上運送状に関するCMI規則」に反映されています。

船荷証券のEDI化の試み

これらのシステムは、仕向港に到着した船舶から貨物を迅速に受け戻すために、海上運送状に類似した運送書類のEDI化を試みたものです。しかし、原料・燃料・食料等のいわゆる国際商品の取引では、しばしば海上運送中に積荷の転売が行われることがあり、このような取引は、運送書類の「流通性」という機能を抜きにしては、実施することが難しいので、船荷証券の原本性、唯一性、真正性、完全性等に関する電子的等価物を商業的に実施するためのプロジェクトが検討されるに至りました。

これらのプロジェクトの中に次のものがあります。チェース・マンハッタン銀行(the Chase Manhattan Bank)の“Sea docs-scheme”(1991年);万国海法会(CMI)の「電子式船荷証券に関するCMI規則」(1990年);国際独立タンカー船主協会(INTERTANKO)の“Electronic Data Interchanger : Bill of Lading for Oil Cargoes”(1990年) ;米国貿易手続簡易化機関(NCITD)の電子式船荷証券(1990年);BOLEROプロジェクトの電子式船荷証券(1995年)、EDENプロジェクト(1997)、TEDIプロジェクト(1999)等があります。主要なものについては、別項にて説明します。

 

 

 

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