国連ECE/WP.4会議に提出された報告によると、一般に、船荷証券のコピー部数は10部から40部(時にはさらに多く)必要とされ、また、運送品別に作成されなければならないようです。これは船荷証券が、荷送人やフレイトフォワーダー、船会社およびその代理人、税関、領事館、港湾関係当局その他で使用されていることによるものです。これらは、船荷証券の用紙や印刷に係る直接費用に関連するものですが、船荷証券の発行の準備や処理に係る経費も注目に値し、これが相当の費用に達しており、この削減が関係者の関心を集めているとの指摘もなされています。
在来船の荷役作業日数に比べて、コンテナ船の荷役作業は数時間ないし10数時間という規模に短縮し、しかも貨物量が増えているので、従来のような手続きでは、本船の出港までに積荷目録の作成・提出が間に合わなくなってきたのです。また、船荷証券の発行件数の増加に伴って、運送関係書類の作成・発行および署名の合理化の必要性が一般に認識され、これが実施されるにいたりました。
海上運送状(Sea Waybill)の導入
1974年、SWEPRO(スウェーデン貿易手続簡易化機関)が、国連ECE/WP.4に対して、Air Waybillと同じ考え方に立つNon-Negotiable Liner Waybillの導入を含め、伝統的な船荷証券の手続を改善するための数件の提言書を作成しました。ICS(国際海運会議所)は、この提言書が検討するに値するものであることを認め、ICSの簡易化委員会は、この提言書の趣旨に基づいて勧告文書を作成しました。また、米国においても、オリジナル一通のみの船荷証券の使用に関する勧告文書が作成されました。一方、SITPRO(英国貿易手続簡易化機関)は、長年にわたる研究の結果として、“Standard Liner Way-bill”を開発しました。そこで、英国船主協会(General Council of British Shipping;GCBS)の勧告に基づいて、1977年1月から英国船会社11社が“UK Standard Liner Waybill”の使用を開始した。
他方、国連ECE/WP.4は、1975年9月会期において「海上運送証券の合理化」を作業計画の優先リストに登録、データ要件と書類に関する専門家委員会に本件を委託し、同専門家委員会は直ちに上述のICSの勧告文書を審議する手続に入りました。そして、1979年3月会期のWP.4の専門家委員会に、ICSの全面的な賛同を得た改訂勧告案が提出され、次いで、これがWP.4の総会で採択されるにいたったのです。当初はLiner Waybillまたは単にWaybillと称していましたが、Air Way billと区別する必要上、国連/ECE勧告が定めた“Non-Negotiable Sea Waybill”に改められて、今日に至っています。