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○石 最後の議題になりますが、地球温暖化防止に向けた各主体の取り組みについて、これを神野先生、浅岡さん、香川さんという順序で伺いたいと思います。

神野先生から、まず行政としての問題を伺いたいと思います。

 

○神野 先ほどもちょっとお話をいたしましたけれども、自動車関係諸税のこのグリーン化というのは、政策的に誘導するというような話ではないので、これはもう基礎の基礎であるということですね。当然環境を改善していくのには行政がさまざまな諸手段を総動員をしていく必要があると思います。私の専門でやっている租税についても、いわゆる狭い意味での環境税みたいなものも考えていかなくてはならないでしょうし、それから、広く環境問題でといいますと、先ほど最初に租税というのはこういうものだというふうに定義をさせていただきましたが、税のあり方というのは時代によって少し変えていかなくてはいけませんので、最初の古典的な定義とはちょっと違ってさまざまな税のかけ方が環境問題のために恐らく必要になってくるだろう。

例えば自動車関係で言うとデポジット方式の税金ですね。最初に重い税金をかけておいて、自動車を使い捨てないでちゃんと処分した人にはお金を戻してあげますよと。タイヤなんかも野積みにして火を吹いているわけですから、タイヤなどには重い税金をかけておいて、ちゃんと処理した人には税金を全部戻しますというような仕組みとか、そういうさまざまな規制を含めて、戦略的規制が必要なのではないかと考えています。

私はいつも佐和先生を尊敬していまして、結論は大体佐和先生と同じなんですが、途中経路では、むしろ規制を強化しておけば必ずいいものは出てくると考えています。このように戦略的規制を含め、いろいろな手法を総動員をする必要があるのではないかというふうに考えています。

そうすると、経済成長との関係がどうなるかとか、景気の段階でいかがなものか、こういうお話が必ず出てくるんですが、私は、これは景気対策である、こういうふうに言った方がいいのではないかと思います。というのは、私はかなり前からずっとスウェーデンを追っかけているんですが、1993年あたりにスウェーデンに行ったときには、スウェーデンの財政赤字ではGDP比で12.3%、日本がGDP比の赤字が、財政収支の赤字が1.6%ですか。

 

 

 

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