もう一つ、租税特別措置というのがございますが、これは課税の公平、課税の正義からすると、ちょっとおかしいけれども、課税の正義をある一定の政策目的、例えば環境政策という目的から、あるいは雇用を促進するために、といった政策目的のためにゆがめようとするものです。ところが、自動車税制のグリーン化というのは、そういう政策的な配慮よりももっと根本的な正義を問うているというのが私の考え方なんです。
つまり、繰り返すようですけれども、課税の公平性というのは社会を契約する利益にかかわっているわけで、社会を契約する利益の中の一つとして、人類が生存していく環境を守る、ということが重要な要素として入っていくのではないか。
そういう観点からすれば、社会契約を結ぶ正義にかかわるということであれば、もっと根本的に見直すべきだということになるわけで、つまり政策的に誘導するとか誘導しないとかということではなくて、税金そのものの中に、つまり社会契約を結ぶ利益、ジャスティスの中に環境というのはもう織り込まないとだめな時代に来ているのではないかというのがグリーン化の趣旨ではないかというふうに考えています。
○石 ありがとうございました。
世界の多くの国が憲法を改正して環境権を取り入れていますね。隣の韓国の憲法なんかすばらしい環境権をうたっていますけれども、残念ながら日本は環境のカの字もまだ憲法にありません。そういう意味では、先生のおっしゃるジャスティスという、どこにその基本が、法的な根拠が来るのかということがちょっと心配ですが、この問題は、後にしましょう。
この後、グリーン化をめぐりまして香川さんと浅岡さん、それから佐和先生と、お三方から少し自由にお話を伺いたいと思います。
では、香川さんから。きっといろいろお話があると思います。