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もともとかなりの税金が登録税でした。例えば相続税もそうですね。相続ということを認めるのはだれが認めるのか、これは政府が認めているから相続が成り立っているんでしょう、といって税金を取っていく税金ですね。自動車税はほとんどこの種の税金だというふうにお考えいただいて構わないと思います。例えば自動車重量税というのがありますが、これもご案内のとおりに、自動車の使用という許可を受ける。つまり自動車というのは登録されているからなんですね。それから自動車取得税も、これも取得したという事実で権利を創設する、デューティータックスですね。それから自動車税、これは個別財産税とされています。もともと個別財産というのは、先ほどの固定資産税と同じように、登記から始まって税金をかける、こういうことになっているので、それぞれそういう権利を創設してもらう、ということを軸に成り立っている税金が自動車税だというふうに考えていただければと思います。

ただ、正義の概念、社会がどういうことを正義だというふうに考えるかという概念は非常に大きく変わってくるわけですね。例えばお酒の税金を考えていただいてもわかりますけれども、お酒の税金を考えるときに、主として、例えば、お酒に税金をかけるんだけれども、貧しい人々が飲むようなお酒は安くして、豊かな人が飲むお酒は高くするというようなそういう貧富の格差を考慮するという考え方も一つあるでしょうし、それから、健康に悪いお酒は重くしますよ、健康にいいお酒は軽くしますよ、こういう考え方もあるわけで、例えばアルコールの濃度について税金をかけるとか、こういうことがあるわけですね。

自動車の場合にはどういうことが考慮されているかというと、大体道路関係が多いんですね。例えば自動車税というのは、先ほど言った個別財産税、固定資産税というようなものと同じように個別財産税なんですけれども、個別財産という性格と同時に、道路損傷負担金という性格があるということで考えられている。もう一つは、先ほどのお酒の例でお話ししたように、奢侈品、つまりお金持ちの持っている自動車は重くしましょうね、お金持ちではない人々が利用するような自動車は軽くしましょうねというような要素も入るというようなことが今まで考えられてきたわけであります。

ところが、私の考えでは、今は正義というような中に環境という要素が入ってきたのではないか、わざわざ高いお金を出して環境に優しい車を買った人間に対して科罰するような形で重い税金をかけるというのは正義か、恐らくここは変わってきたのではないか。つまり、今や道路損傷負担金という性格よりも、環境損傷負担金という性格を付与した方が自動車税としては正義、社会的なジャスティスを守る税金としては、そちらの方が正義だというふうに国民は考えているのではないか、というのが自動車関係税のグリーン化であります。ところが、環境税というのは直接政策的な配慮で出てくるわけですね。

 

 

 

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