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<佐和 教授>

 

〇佐和 10分ほど話させていただきます。

皆様方の予備知識がどのぐらいかということがよくわからなくてなかなか話しづらいんですが、先ほど来、浅岡さんのお話の中でも、そして二階大臣のお話の中でも、京都議定書が2002年ごろに発効するんじゃないかという話が何度かございましたが、発効ということはどういうことかといいますと要するに、今現在は発展途上国の非常に小さな国16カ国が批准しているにすぎなくて、一定の条件があって、十分な数の国が批准して初めて京都議定書というのは発効するわけです。

せんだってのボンの会議でドイツのシュレーダー首相が、大体2002年を目標にして各国とも批准しようじゃないかというようなことをおっしゃって、先ほどの大臣の話もございましたように、いわゆる閣僚レベルの、ハイレベルの折衝でそのことが確認されたというふうにおっしゃっていましたね。そうすると、2002年に初めてこの京都議定書というのはまさに発効するわけですね、効き目が出るわけです。そうしますと、恐らく各国とも一斉に、目標は2008年から2012年の5年間なんですが、それを第1コミットメント期というような言い方をするんですが、その第1コミットメント期に向けてそれぞれに課せられた義務を果たすべくいろんな努力をするわけで、あるいはいろんな対策を講じざるを得なくなるわけですね。

そのときに、二酸化炭素の排出削減ということで最も痛みの少ない対策というのが自動車の燃費効率の向上なんですね。今現在、先ほど萩野さんのお話の中にもございましたように、運輸部門のCO2排出量というのはたしか23%、そのうちの9割ぐらいが自動車なんですね。したがって、ほぼ20%が、つまり100出すCO2のうち20%が自動車から出ているということなんですね。もちろんトラックも全部含めてですけれども。そして、仮に自動車の燃費効率が20%改善されれば、0.2掛ける0.2ということで全体の4%削減できるわけですね。燃費効率が平均して30%改善されれば、0.2掛ける0.3で6%削減できるということで、これほど効き目の大きい、しかも痛みの少ない対策というのはほかになかなか見当たらないんですね。

 

 

 

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