このような深刻な議論をこの間続けておりまして、先ほどの清水長官のお話にもございましたように、先般、ようやくCOP6で2002年には発効できるように批准可能なものに中身を詰めよう、決定をしよう、そういうことで世界の、とりわけ先進国の国々の意向が動き出した。これから1年弱しかありませんので、各政府の交渉担当者は御苦労が続くと思います。
そのことで日本について考えますと、日本が京都会議の前にも、またその京都会議の直後にも、とりわけ二酸化炭素につきましては、90年水準安定化を変えないということで政府部内と業界との間で話を決めてしまっておられますけれども、その前提として、吸収分で3.4%も上げ底になるとか、原油換算で原子力発電所で5600万キロリットルもの削減分の効果が出るという目算の上に立ったものです。しかし、これは実際無理だと明らかになってきておりますけれども、そうすれば、本当に今までのシナリオとは異なる削減シナリオをつくっていかない。COP6で日本は議定書を批准可能なものにしていくために積極的役割を果たせる立場なんだろうかと。
そういう意味でも、国内政策措置が今非常に重要になってきています。先般もCOP5でベストプラクティスとして先進的政策措置の例を各国が発表し合ったわけでありますけれども、日本からは具体策がない。削減に効果的な政策が乏しいことが指摘されています。国内で実質的に減らしていくという政府の方針が見ることが、京都議定書、京都の名を冠した議定書を発効させるために日本が果たさなければいけないし、役割を果たし得る一番大事な点だと思っております。
○石 ありがとうございました。
では、その運輸部門の温暖化対策、とくに自動車について佐和先生に続いてお話を承りたいと思います。