2] ポケベル利用によるメリット
求荷・求車情報の交換に用いるメディアとしては、従来の親密企業間の電話での情報交換以外では、ポケットベルの他にコンピュータ通信、無線などが挙げられる。
これらと比較したポケットベルを用いるメリットは以下の通り整理される。
■コンピュータ通信による傭車システムと比較したメリット
*導入コスト負担が小さい
コンピューターを端末としたデータ通信ネットワークにより企業間の傭車協力等、協業共同化を行う場合には、端末のハード導入費用とソフトウェア開発費用が必要となる。ポケベルによる傭車システムでは、求荷・求車情報交換のためのシステム導入に係る費用はポケベルの保証金及び手数料のみであり、より導入しやすいといえる。
*システム標準化が容易
コンピュータ通信によるシステムでは、独自のシステムを構築した場合に参加企業のすそ野が広がりにくいことが課題となるが、ポケベルによる傭車システムの情報コードは、ポケベルを用いた12桁のコードからなり、通信媒体、メッセージともシンプルなものとなっているため、システムの標準化が容易であることも普及に向けた重要なメリットであるといえる。
*運用コストが低く24時間の情報交換が可能なため高い成約率が期待できる
コンピュータ通信によるシステムの大きな課題として、運用コストや利便性があげられる。随時発信される求車情報、求荷情報を迅速に得るためには、常時回線が開かれている必要があるが、そのためにはOCN(Open Computer Network:NTTのデータ通信割引サービス)を用いても月数万円(サービス内容により異なる)のコストがかかり、中小トラック業者にとっては無視できぬ負担となる。一方、会員が常時回線を開いていなければ成約に至るまでに時間を要することになる。こうした問題に対し、ポケットベルによる傭車システムは、携帯性の高いポケベルの一斉同報によるため、24時間通信可能な状態を遙かに低コストで確保できる。
*なじみやすく導入への抵抗感が低い
普及したとはいえ、いまだコンピューター操作への根強い抵抗感があることが関連事例においても指摘されており、操作に関する指導やソフト操作手順の簡便化に努力しているとされている。これに対し、ポケベルによる傭車システムは一般的なポケベル打電の操作のみで、なじみやすく抵抗感が低いことが普及に向けて有利であるといえる。