近鉄では、養老線サイクルトレインをPRするため駅ポスターを独自に掲示しているほか、テレビ番組の取材などにも積極的に対応している。また、自転車持ち込み客向けにカラーのサイクリングマップも制作。マップは「多度大社・木曽三川公園コース」「海津町水郷巡りとお千代保稲荷コース」などがあり、それぞれに走行ルート、距離、所要時間などのデータを示すとともに、各所の見所などを紹介している。
こうした企業努力により、養老線での自転車持ち込みは沿線住民の間で広く知られるようになっており、乗客サービスの一環として定着しつつある。中には、名古屋方面から自動車に自転車を積んで養老線の途中駅付近に立ち寄り、車を置いてサイクリングを楽しんでから、車を駐めている駅に鉄道で戻るという利用客もある。
ただ、自転車持ち込みは天候に左右されやすく、雨の日などは利用が極端に減る傾向にある。また、養老線は都心部との接続が比較的少なく、名古屋など大都市圏からの集客は、上記のような一部の自転車愛好家を除いて非常にむずかしい。さらに、駅構造や安全性などの面で養老線以外の路線には適用しにくいという問題もある。
こうした課題はあるものの、鉄道への自転車持ち込みは地球環境保全への貢献が極めて大きいと見られることから、養老線サイクルトレインは今後も実施内容を拡充して継続される。