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このため、アイドリングストップを行う場合には、適切な定期点検時期や部品交換時期に留意しなければならない。

近年、ディーゼル商用車では、アイドリングストップ・スタート装置付き車両が一部で販売されており、アイドリングストップ・スタート装置無しの車両に対して、スタータ、リングギヤ、オルタネータ、バッテリ等の始動系部品が強化されている。

 

5. まとめ

 

ガソリン乗用車1台、ディーゼル車3台(貨物車2台およびバス1台)を用いて、信号待ちも含めた短時間のアイドリングストップが排出ガスおよび燃費に及ぼす影響について調査し、以下の結果を得た。

(1) ガソリン乗用車についてはCO2および燃費に対して効果があるものの、始動時の燃料増量および触媒温度変化の特性の影響を受けるため、COおよびTHCの排出ガスは悪化している。1台の供試車両の結果であり、さらにデータの蓄積が必要である。そのため、一般的には人待ちや荷下ろし等で駐停車する場合にアイドリングストップを行うことが適当である。

(2) ディーゼル車では、アイドリングストップ時間が長くなるに従い、排出ガス(CO、THC、NOx、煤煙、CO2)および燃料消費量はほゞ直線的に低減している。都市内のアイドリング時間の頻度や積載量別保有台数を考慮すると、10秒以上のアイドリングストップでも排出ガスや燃費低減に対して効果があり、30秒以上のアイドリングストップで最大効果を示した。

(3) ディーゼル車や燃料噴射式ガソリン車において、アクセルを踏み込んだ状態でエンジンを始動することは、排出ガスの悪化や燃料消費量の増加をもたらすため、アイドリングストップの排出ガスや燃費低減に対する効果は低減する。

(4) 都市内走行時に、信号待ち等でアイドリングストップを行うことにより、エンジン始動頻度は、例えば乗用車やバスにおいて30秒以上で実施した場合6倍、小型貨物車において10秒以上で実施した場合42倍増大することになるため、これらに見合う始動系部品の強化が必要である。

 

 

 

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