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これらのことより、図4.2に示すように、アイドリングストップの有効時間を把握するための計測範囲はエンジン停止からエンジン再始動後、ガソリン車については3分、ディーゼル車については40秒とした。

 

4.2 アイドリングストップ時間が排出ガスや燃費に及ぼす影響

信号待ちや荷下ろしでのアイドリングストップを想定し、エンジン再始動後、直ちに発進する条件にてアイドリングストップ時間と排出ガスや燃費の低減量との関係を調査し、排出ガスや燃費に低減が見られるアイドリング時間を把握することを目的とした3.2.3(1)の試験結果である。

4.2.1 ガソリン乗用車

アイドリングストップの有無が排出ガス等におよぼす影響をエンジン再始動後について図4.3に示す。COおよびTHCはエンジン始動直後にアイドリングストップを行わない場合に比べて多く排出しており、NOxは逆の傾向を示している。これは、同図の空気過剰率の挙動からもわかるようにエンジン始動直後20秒間が理論空燃比(空気過剰率=1)よりも小さく、すなわち燃料が過多になり、COおよびTHCの増加につながっていると思われる。本供試車両では、始動時に良好な始動性を確保するため燃料の増量を行っていること、またO2センサーはヒータ付きでないため、アイドリングストップによりO2センサーが活性温度以下になりフィードバック制御(O2センサーにより理論空燃比に制御)が行われず、空燃比が濃くなっていることが推測される。また、再始動後100秒付近でのCOおよびTHCの増加は、アイドリングストップの有無での空気過剰率に変化がないことから、触媒温度等の低下に起因するものと思われる。アイドリングストップの有効時間を求めるため、10、15、30秒、1分、2分、5分間のアイドリングストップでのCO、THC、NOx、CO2、燃料消費量の減少量について図4.4に示す。なお、減少量は、アイドリングストップしない場合とアイドリングストップした場合との差で表す。すなわち、減少量がゼロ以上でアイドリングストップが有効であることになる。同図には、平均車速が約9km/hと27km/hの異なる走行状態での結果を示している。ここでは、CO、THC、NOxには走行状態の違いによる触媒温度等の影響を確認できなかったが、触媒温度等の影響を受けないCO2および燃料消費量に対しては走行状態の影響はみられない。

同図から、アイドリングストップを行うことにより、

・COは著しく悪化している。

・THCエンジン停止時間が長い場合には改善される可能性がある。

 

 

 

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