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4-4 自転車交通の普及にむけて…街中レンタサイクル等

自転車交通促進のため、建設省、運輸省、環境庁、通産省等に個別の補助制度がある。しかし、総合的な観点からそれらを有効に組み合わせることは難しい。自治体の計画に基づき、適宜適当な事業を組み合わせて活用できる包括的な補助制度などの仕組みが必要である。

同様に、自治体内でも自転車交通は都市計画、道路整備、放置自転車対策、商店街活性化等に分かれており、交通計画以前の問題がある。都市交通計画のセクションもない状況で自転車だけが単独で位置付けされることもないだろうが、ともかく計画として一本化は必要である。

自転車は、単独の交通手段として10km弱の距離ぐらいまでは、自動車と同等あるいはそれ以上利用される可能性のある交通手段であり、車からの転換を吸収できる可能性が高い。これからは、エコ交通の観点から、活性化の観点からも自転車に優先権を与え利用環境を整備していくことが望まれる。自転車がさらに有力な交通手段となるために以下が重要である。

・自転車ネットワーク整備(自転車道路(専用・共存等)、駐輪場・駐輪スペース)

・自転車の共同利用(駅などの通勤通学用、観光地用、都心の買い物・業務利用等用)

・新しい自転車の技術向上(電動アシスト、子供用カート、ICカード、デザイン性)

○レンタサイクルシステムの定着にむけて…留意点

自転車の活用のためには、ハード面の整備をすすめるとともに、マルチモーダルの促進のため他の交通機関と組み合わせ、自由に使えるレンタルシステムの自転車提供は重要である。貸し自転車のシステムとしては以下の3タイプがある。

・通勤通学利用の駅レンタサイクル、

・買い物・業務利用の街中レンタサイクル

・観光地レンタサイクル

これらのうち、通勤通学関連は成功例も数多くある。観光地用もシステム化されているわけでないが、小規模な地元業者が行っている例が多い。従って、街中レンタサイクルは成功例が少なく、中心市街地活性化の観点から期待されているので普及が期待されている。デンマークで展開されているBycyklenのような街中で自由に使えるレンタサイクルが最も参考となる。

普及のための重要な要素として、配置場所・台数、自転車デザイン、貸出システム、運営費用、利用規程・エリア設定、他の交通手段との結節点の整備(鉄道、バス、車)があげられる。なお、それらの前提となる自転車交通計画の策定は基本条件である。

1]普及のための支援策

こうした新しいシステムの導入に際しては、社会実験で経験を積み可能性を確認していくことが有効であり、そのための公共側の支援が期待される。

・行政の一本化(各省庁ごとの補助金制度の一本化・一体的活用、担当セクションの一本化)

・自転車ルート、駐車スペース等施設整備等(自転車専用道、駐輪場等の都市施設整備、ネットワーク完成のため柔軟な設計(つなぎの歩道、民間敷地利用)、駐輪スペースの確保(路上パーキングスペース、民間駐車場の一部、公園の道路側の空間)

・運営組織への支援(自転車の修理、移動等日常的な維持、運営への補助、支援。)

 

 

 

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