4] カーシェアリングの効果の検討
個人レベルのカーシェアリングの有効性を経済性の点から検討する。
カーシェアリングは、個人の選択に支えられて急速に普及してきた。しかし、スタートは小規模な地域に密着したところからケースバイケースで徐々に成長してきたので、地域ごとに異なる条件で成立している。日本での普及も諸条件を十分検証してその可能性を把握していく必要がある。車の個人的所有や最近様々なサービスのレンタカーもあるので、まず現時点で適用できる特別な優遇措置がない条件において経済的利点を検証する。従って、保険税金等の誘導措置が電気自動車等へ講じられていることを考えると現実として実際に普及するときよりは不利な条件である可能性が高い。
次に、地価の高い日本において車を共同利用することが前提で建設事業と一体的に推進することは初期投資の負担が小さくなり大いに期待できる。この部分は利用者からの選択ではないが、建築や宅地開発事業から建設費の縮小と土地の有効活用など現実的メリットでカーシェアリングの環境を作っていくことからカーシェアリングの普及推進が期待できる。この開発側からの推進が日本的な普及促進の特色として期待できる。当然のことながら、環境負荷の点では公共レンタカーのような電気自動車等低公害車の活用が望ましいが、現状ではその性能とコスト面で問題があり、カーシェアリングの成立条件としては不利となり、将来の導入を考慮すべきであるが当面は現状の車を前提にここでは検討していきたい。
ア) 車の所有・利用費用の検討
1] 車両維持費の検討
車の利用に関わる費用を、1]車所有(買換期間5年/10年)、2]カーシェアリング(5年買換一台あたり10世帯/20世帯/30世帯)、3]レンタカー利用(宅配レンタカー・週末レンタカーなどがある)それぞれにおいて試算し比較検討する。
諸条件:
個人所有の平均的維持費は主婦の友社資料のデータを利用した。
(自動車ローン(年利6%、5年)で年間36.00万、10年利用の場合は半分とした)
なお走行距離による維持費の差異は考慮しない。車は1500ccクラスとする。
(車両150万円、自動車税3.62万円、重量税1.26万円)
カーシェアリング 運営費は参入していない一台当り経費である。