これらの比較と、ヨーロッパでの普及の理由とを鑑みて、以下のようなカーシェアリングのメリットがある。個人的なメリットより社会としてのメリットも多い。
○個人的メリット
・所有に関わる費用軽減…
取得費、維持管理費、税金保険、燃費、時間貸駐車場代、駐車場(建設費、利用費)等が安くなる。
・維持関連手続き軽減等…
盗難対策、清掃、点検の手間から解放される。
・利便性・選択性の向上…
近くにある車を利用でき、乗り捨て自由となる。(状況次第)
目的に応じた選択性が広がる(ファミリー、RV、ミニカー等)
・その他…
健康増進、コミュニケーションの復活
○社会的メリット
・資源・ゴミ…
台数の減少による資源の有効利用、廃棄物量の減少
あると便利というレベルの車両が減少し、利用度にあった所有になる(4WD車、スポーツカー、ワンボックスカー等)
・都市空間・土地利用…
土地の有効利用(高密度でコンパクトな街、活性化等)
公共空間拡大と都市景観の向上(車の空間から、建物用地、歩行者・公共交通、緑地)
・都市の活性化…
都心部の歩行者増大
・都市交通…
公共交通の利用増大、歩行者空間の充実
必要性の小さい交通量の減少
モビリティの向上(持っていない人、非日常的車利用が容易になる)
・施設整備…
駐車場の絶対量の減少(都市空間と整備費)
・(交通量が減る場合)…
渋滞軽減、道路必要量の減少
以上は、利用面では満足できるサービスレベルが保証されたときの利点ではあるが、資源面や空間占有、施設整備の必要性などはとにかく少しでも普及すればメリットが生じる。
これらカーシェアリングの利点を再度簡単に以下のようにまとめる。
●カーシェアリングの特徴
1] 個人レベルでは車所有の利便性を多少我慢しても、それに勝る経済性があり利用者が増加する。
2] 社会的には、駐車している車が減ることによる都市空間の占用が減少し、主たる効果として都市整備の効率が上がるという環境面財政面で支持されてきた。
3] さらには、総体として交通量も減少し渋滞緩和が多少期待されている。車の総量が減るということは資源消費や廃棄物が減少する効果もある。