都心部が都市活動の中心であり続けるためには、最も密度高く都心空間を利用できる歩行者主体に都心交通を考えることが鍵となる。これまでの都市整備は車にあわせて街を変えるという傾向が強かったが、空洞化や歴史文化、社会学の視点からも歩行者中心の街を取り戻すことに意識的に転換するようになっている。
貴重な都心空間を主役である人に優先権を与えるよう、車に譲り渡してきた空間の分配を変えるという考え方である。フランスの都市整備では「空間の再配分」といういい方もされている。車が一番空間を必要とし、しかも、通勤利用では一日約8時間以上約一人のために15〜25平方メートルの駐車空間を使っている。そのために広い道路空間と駐車空間を用意することは都市密度、空間の有効利用の点からは問題が多い。こうした利用を前提にした都市空間では、都心部の集中度が下がり都市も拡散するので車道や駐車場のスペースを多く必要とし、資源・エネルギーの無駄使いの方向にある。工事費も必要となる。