日本財団 図書館


2] 交通を重視する都市構造…新しい都市空間の形成

町の中で様々な活動をするため町の中を移動する時、規模、施設配置等土地利用の内容など都市空間の構造によって、移動の実態は大きく異なってくる。生産基地としての都市の性能や、生活環境の場としての都市空間の質などを決める基本的フレームとなっている。

こうした都市の中に、どのように様々な交通手段を効果的に組み合わせていくか、様々な価値観、評価軸に従って様々な体系・構造を形成していくことができる。

これまでは、効率性や経済性が優先させて、生活環境や地球環境の質を重視した都市交通体系を確立することを目指し、完成してきた都市は少なかった。町は時間をかけて少しづつ発展をしてきているのが普通で、交通は既存の都市空間を前提条件として調整をしつつ改善を図ってきたのが現実である。従って、自然発生的に出来る都市では理想的なモデルとして都市交通を実現できないが、生活改善のためさまざまな工夫、手法もあり、思い切った施策と実施力で効果を上げている例も多くある。テレコミューティングのような移動を軽減する経済活動の方法も提案されている。

一方、新しく都市空間を構築するニュータウンや大規模なリゾートでは、自転車や歩行者、公共交通をもっぱら中心に据えて都市空間を創出している例もある。しかし、積極的に街の中心地区で一定の広がりをにぎわいのある歩行者空間としつつ、他の交通手段と複合的に組み合わせるニュータウンは少なくないなかで、セルジ・ポントワース(フランス)では、郊外電車のレベル、バス路線網のレベル、その上の人工地盤に広場とモールの歩行者空間を創出する立体的な土地利用を実現している。各交通手段の乗り換えが効率的に行える都市空間となっている。一方、ユトレヒト郊外のハウテン・ニュータウンは自転車を主たる交通として新市街地を構成している。現在は当初計画を拡張するほど成功している。

●セルジポントワース・ニュータウンの人工地盤による都心部 (Dossier de Presse)

016-1.gif

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION