1-4 環境と運輸交通に関わる世界の対応
こうした地球環境の実態と運輸交通の分野が及ぼしている影響は深刻となっており、各国で既に様々な対策が検討され、講じられている。日本でも、税のグリーン化の議論などようやく具体的な施策や試みが始まる時期に入ってきた。
1) OECD/ECMTの報告書「都市交通と持続可能な開発」
1990年末から3年間OECD/ECMTの都市交通と持続可能な開発に関するプロジェクトグループによって研究が進められ、その成果が1994年4月に承認された。1995年に「Urban Travel and Sustainable Development(都市交通と持続可能な開発)」という報告書が出された。日本を含む約20ヶ国の諸都市のデータを分析し、都市交通の現状把握、課題の整理に始まり、各国の諸政策の紹介なども含め、二酸化炭素の排出削減を考慮しつつ持続可能な発展を続けるための政策パッケージの提案まで行っている。ここでは、交通分野にとどまらず、ライフスタイルや土地利用メカニズムにまで言及して総合的な手だての必要性が主張されている。以下の内容について分析されている。
―経済的なインセンティブとディスインセンティブの役割
―土地利用計画の役割
―交通マネージメントのための交通静穏化及び他の新しいアプローチの可能性
―公共交通を改善するために、マーケティング、テレマティックそして他の新しい技術革新の利用
2) ヨーロッパの環境税・炭素税
各国で、温室効果ガスの排出抑制のため様々な施策がとられている。