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─報告書の要約―

 

I. 環境と交通の現況

 

交通部門が地球環境問題に与えている影響については、CO2の排出、そしてそれとほぼ連動するエネルギー消費で見ると全体の1/4を占め、その伸びは産業部門よりは大きく重要な課題である。CO2の排出で自動車は運輸部門の87%と大半を占めていることから、このトラックを含む車全体が環境負荷の小さい交通を考える鍵になっている。

現在、環境への影響に留意した交通について、国内外各地で様々な施策、試みが進められており、それらの事例を収集し検討した。環境負荷の小さい交通の領域として生活・制度等に関わるレベル、都市および交通のレベル、交通機関・交通手段のレベル、それぞれのレベルで整理した。

 

●環境負荷の地裁交通に関わる4レベル●

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II. 環境に配慮した交通の方向性…車を中心に

 

自家用乗用車(以下、自家用車、車と略記)を中心に環境に配慮した交通を以下のように考える。

1. 車は、運輸交通の領域の中でも地球温暖化へ大きな影響を及ぼしている。

2. 車の使用は必ずしも常に必要不可欠ではなく、環境の条件を加えたり、一人一人のライフスタイルを変えることにより、また、個人の車への価値観が変わることにより利用機会を減らすことは比較的容易である。

3. 市街地においては都市活動や、車、人が集中し、車にかかわる社会問題が大きい。都市計画や交通需要マネージメント等の施策により車以外の他の交通手段への転換も中心市街地では誘導しやすく、現実的な対策がたてやすい。

車が選択されてきた長所や価値観等を考慮し、車からの転換、車の新しい利用法を促進するためには中間モードの交通手段が期待され、様々な交通手段の位置付けを整理した。

次に、車の新しい利用法として、相乗り、カーシェアリング(車の共同所有・共同利用)、公共レンタカー(個人利用の公共交通/短時間セルフサービスレンタカー)について最近の動向や事例を検討した。特にカーシェアリングは、中部ヨーロッパで、急速に普及している、新しい車の使い方として注目される。普及の理由として、

―車の所有と利用を分けて考える。

―所有に係わる諸費用を応分の負担でまかなう。

―個人的利用の車の節度ある利用。

―都市空間の専有面積縮小による環境への配慮

 

●自家用車と公共交通との中間的な交通手段の領域●

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