日本で導入した場合で利用料金、導入のメリット等を考えるためケーススタディをおこなった。経済的には、個人で車を所有する(月7-8万円程度)よりは格段に安いが、不自由がない程度の利用人数を知ることが課題となっている。集合住宅や宅地開発事業で、個人所有を前提とせず、カーシェアリングを導入することは建設コスト、空間利用の点で少なくとも5%程度有利となっている。日本では、こうした供給側から普及を促進していくことが有望である。
公共レンタカーは、環境負荷の小さい新しい車を用いたもので基本的にタクシーとバスの中間に位置づけられる個人利用の公共交通サービスであるが、この観点からの本格的な社会実験は一定規模と期間が必要となり大規模な支援体制が不可欠である。日本でもいくつかの実験が始まっているが、共同利用による交通量の多少の減少をねらいつつも電気自動車の有効な利用供とシステムの検証が目的となっているのが実態である。
自転車交通も環境を考えるとき重要で、環境が整えば相当距離まで車の代替として期待することできる。ここでは車と同様共同利用に注目した。
III エコ交通の展開
エコ交通は環境にやさしい環境負荷の小さい交通の概念であるが、単に環境の視点ばかりではなく、快適性や生活の質という要素も考慮に入れた新しい交通の考え方でありこれまでの価値観の転換が期待される。また、地域の特性に応じて柔軟に考えていく必要がある。
エコ交通の普及展開をはかっていく上で、本来都市構造やライフスタイル、社会制度など大きな枠組みの中で本格的に取り組む必要がある部分を広義のエコ交通とし、交通手段の工夫や個人の選択など比較的容易に対応できる部分を狭義のエコ交通と分けて考えることができる。
狭義のエコ交通では新しい車の利用と、車からの転換・マルチモーダルの促進という部分を中心に今後のエコ交通の展開を考えていく。