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新海上交通システムの調査研究報告書

 事業名 運輸交通における地球環境問題に関する調査研究
 団体名 交通エコロジー・モビリティ財団 注目度注目度5


5 とりまとめ

 

5.1 はじめに

 

物流分野における効率化及びCO2排出量の削減等の社会的要請に応えるためには、産業基盤物資輸送の大半、国内貨物輸送の4割強(トンキロメートルベース)を担っており、また、小口のトラック輸送と比較して効率的な大量輸送が可能な国内海上輸送サービスの利用を拡大する、いわゆるモーダルシフトの推進が急務である。

 

しかしながら、輸送サービスは経済行為であり、荷主のニーズと海運事業者の経済性を両立する必要があることから、単位輸送当りのCO2排出量が少ない、或いは、低速ではあるが効率的で低コストの輸送が可能であるという既存の海上輸送の特徴だけでは、モーダルシフトの進展には限界がある。荷主が必要とする速度及びサービス内容を提供しつつ、既存の輸送システムに比較して合理的な価格で輸送サービスを提供することが必要になる。このような観点から我が国長距離物流に対する海上輸送サービスの貢献度をみた場合、関東〜北海道間等東日本地域の物流に関しては、高速RORO貨物船を活用し、トラック輸送に比肩し得る速度・経済性を有する高速海上輸送サービスの提供が実現されているが、翻って関東・関西〜九州間等の西日本地域の物流については、真にトラック輸送を代替し得る海上輸送サービスは実現されていない。これは既存の船舶や港湾インフラを前提とした場合、西日本地域の運賃水準に対応した経済性を有する高速海上輸送が実現できないところに原因がある。

このため、本調査では、関東・関西〜九州間の長距離物流に関してモーダルシフトを促進すべく、1]トラック輸送相当の高速輸送を必要とする貨物量を調査(ニーズ調査)し、この貨物を対象として、2]トラック輸送に匹敵する速度とこれを上回る経済性を両立する新海上交通システムが実現できるか否かについて、既存の港湾インフラや規制等による制約にとらわれずに検討した。具体的には、狭水道の輻輳海域において海上交通安全法による制約が大きいことや港湾インフラ(岸壁、港内の回頭水域、荷役時間等)の制約等の理由から実現されていない全長200メートル以上(220メートル及び240メートル)、速力30ノットの大型高速RORO貨物船を用いた新海上交通システムについて検討したところ、港湾インフラの整備や最新の技術・機器を活用した規制の合理的運用等が行われれば、当該新海上交通システムは荷主ニーズを満足する高速性を確保しつつ十分な経済性が実現できるとの結果を得た。

 

さらに、当該海上交通システムが導入された場合のCO2排出量の削減効果については、現行のトラック輸送に比較してCO2排出量が30〜40%程度(240m型、消席率70%の場合)削減されることから、新海上交通システムを用いたモーダルシフトは、地球温暖化の防止にとって非常に有効であると考えられる。

先に延べたとおり、輸送サービスが経済活動である以上、モーダルシフトを促進するためには、荷主ニーズと海運事業者の経済性を両立するこのような新海上交通システムの実現が不可欠であり、港湾インフラの整備、規制の合理的運用等関係方面の連携した対応が期待されるところである。

 

 

 

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