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2-4 調査結果から見た接遇・介助教育の課題

 

(1) 接遇・介助教育の内容に関する課題

 

1]記載項目

 

接遇・介助教育において、教育のプログラムおよびマニュアルの中で扱う記載項目の適切さが重要である。接遇・介助の現場で必要とされている内容を網羅し、かつわかりやすく提供する事が求められている。2-2で述べたように、各事業者でマニュアルの構成内容が工夫されているものの、必ずしも十分でない部分や不足している部分もあきらかになっている。表2-4-1には接遇・介助教育のマニュアルにおいて、記載の頻度が少ない項目を再掲した。表にある項目はいずれも重要な項目であり、今後、確実に対応していかなければならない部分である。

 

表2-4-1 記載頻度が少ない項目

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2]高齢者への対応

 

障害者に視点が行くあまり、高齢者への対応の重要性があまり取り上げられていない状況もある。障害者への対応ができれば高齢者への対応も同じであるという考え方も影響していると考えられる。しかし、高齢者は障害者と比較して複数の複合的な障害を持つ場合が多く、配慮が必要であることが指摘されている。今後の高齢社会では、定年後の継続雇用の推進、社会参加の意欲の増大、余暇の重視、バリアフリーのまちづくりの展開など、高齢者の外出が増加する要因は枚挙に暇がない。老人性の痴呆についても、本人が行き先や帰宅先を認知していないなど対処しにくい部分はあるが、現実問題として対応が必要となるケースが増加すると考えられる。接遇・介助教育のマニュアルにおいて高齢者への対応を明確に位置づけることが必要である。

 

3]内部障害者等への対応

 

内部障害者の場合、外見上わからないことに起因して誤解を生んでいるケースもあるため、様々な状況に置かれた人がいることを交通従事者に周知させる必要がある。すなわち公共交通を利用している人には様々な状況にある人が常に存在することを念頭に置く必要がある。これは接遇の基本的な心がまえの問題でもあり、接遇・介助教育の冒頭で十分な理解が必要である。

その他、妊産婦や一時的なけが人等への配慮が必要である。欧米では、より多様な障害について対応している(後述)。わが国でも少なくとも上記の表に示したものについては基本項目として教育の中に取り込む必要があると考えられる。

 

 

 

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