案内用図記号は、不特定多数の一般公衆が使用する施設等で情報を提供するものであり、一般公衆が一見してその表現内容を理解できるだけでなく、高齢者や障害者さらにはその国の言語を理解できない外国人にとっても言葉の壁を越えるものとして、今日では世界的に使用されている。また案内用図記号はサインとしての案内や記名の機能を持ち、遠方からの視認に対しても文字による伝達に比べて優れているという長所を有している。
しかしながら、国際的に標準化された案内用図記号としては、現在、国際標準化機構(ISO)でまとめられた「IS07001一般案内用図記号」の57種類があるに過ぎず、エスカレーター、案内所等、まだまだ検討・追加を要するものが多い。
日本では1964年の東京オリンピックに用いられ、以降、鉄道、空港、バス、フェリー等の公共交通機関やホテル、観光施設や博覧会等のパブリックスペースで大変重視されてきたが、未だ標準化(JIS化)された案内用図記号はなく、各社あるいは各団体が各々に定めて整備を進めているため、利用者にとって分かりづらいものとなっている。
注)図記号は、日本では絵文字、絵表示、マーク、アイコン等、欧米ではアイソタイプ、ピクトグラム、ピクトグラフ、サイン、シンボル等と呼ばれている。ISOではこれらをグラフィカルシンボルと呼び、JISでは邦訳として「図記号」を用いている。