日本財団 図書館


ハンディ・ダートの利用には資格が必要で、申請によりハンディ・パス(案内冊子は図3-4-5)というカードを入手する必要がある。身体的、精神的障害により、既存の公共交通が利用できない人がハンディ・ダート利用の適格となるが、その判断は表3-4-8に示す条件をもとに行われる。

 

表3-4-8 ハンディ・ダートの利用資格

122-1.gif

出所)C052

 

現在のところハンディ・ダートのキャパシティは限界に近づきつつあり、コスト削減の目的も兼ねてタクシー利用(後述のタクシー・セーバー)への転換が勧められている。

実際の障害者の利用率は、予算圧縮の影響を受けて利用人員をカウントする人材が削減されたため、近年のデータが得られていない。1994年までの障害者の移動手段についてのデータは表3-4-9にまとめた。自家用車(「乗せてもらう」、「自分で運転する」を含む)の利用が半数以上をしめている。また、当時はアクセシブルなバスが少なく、非アクセシブルバスを利用していた人たちは、車いすを担ぎ上げるなど、かなりの困難を伴って利用していた実態が報告されている。障害者で公共交通を使えない人の97%の人が、無理をして非アクセシブルの公共交通を使っているという状況にあった。現在でも移動の8割は個別交通に依存している状況である。

 

表3-4-9 障害者の移動手段(1994年)

122-2.gif

 

アクセシブルな公共交通が提供された場合でも、家の玄関から車までの歩行空間の整備は、地方自治体による部分も大きい。トランズリンクのような統一的な組織が存在するメリットはこうした点にもあるといえる。

公共交通へのアクセシビリティの確保は、カナダでは人権として捉えられている。自由と独立は人権の一部として守られるもので、セカンドレベルではいけないという認識がある。その点で、当初ハンディ・ダートも差別ではないかと指摘されていた。現在ではそうした見方は少ないが、コスト的には一般向けと障害者向けの手段を分けずに、公共交通のアクセシブル化により一緒にすることが、より効率的という判断である。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION