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パラトランジットサービスのコストが増大するにつれて、より低コストの代替的な輸送システムが求められてきた。パラトランジットの運行コストを下げるために表3-3-11のような対応がとられている。なお、カナダでは公共交通サービスを補完するためのタクシーの利用は一般的である。

 

b. 利用者に対する補助金

 

利用者に対するタクシー利用の補助金交付は、公共交通あるいはパラトランジットサービスが存在しない地方の小都市では一般的に行われている。

カルガリーでは、ハンディバス(the Handi-Bus service)を補完するためのタクシー料金プログラム(the taxi charge program)が導入され、歩行上の障害を持つ人に24時間利用できるサービスが提供されている。このプログラムは市の社会福祉事業局(The Calgary Social Services Department)によって1974年に開始され、1990年のアクセシブルなタクシーの導入で、サービスの対象者が増加している。プログラムの利用には、所得制限や障害の程度などの一定の要件を満たす必要があり、利用資格者にはIDカードが発行される。毎月の補助金の限度額は、個人の必要度(毎日の通院が不可欠など)にもとづいて算定される。利用する場合は、プログラム加盟の10社の中から任意のタクシー会社を選んで予約する。類似のプログラムとして、1991年にバンクーバーのBCトランジットによって導入されたタクシーセーバーなどが挙げられる(3-4参照)。

 

5]アクセシブルなタクシーのための配慮事項

 

車両の設計において人間工学を取り入れることは、アクセシビリティを確保するための前提条件である。設計の基本は、移動制約者、知覚障害者、知的障害者および発達障害者を含むすべてのグループのニーズに対応することである。表3-3-12には設計における配慮事項を示した。

 

表3-3-12 アクセシブルなタクシーの設計のための配慮事項

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