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ヘビーレールでは、全般的に完全なアクセシブル化はされていない。トロントでは1996年に一部分がアクセシブル化されているが、現在も多くの課題を含んでいる。

表3-3-1は、鉄道のアクセシビリティーに影響を与えると考えられる要素を整理したものである。

 

表3-3-1 鉄道システムのアクセシビリティーに影響を与えると考えられる要素

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b. アクセシブルな鉄道車両開発

 

カナダの鉄道車両製造業者は、主としてアメリカの市場に大きく依存している。このことは、カナダの鉄道で必要とされるアクセシビリティの要件を満たすだけでなく、ADAにも合致するものとして、ユニバーサルデザインの製品が増えることを意味する。

カナダの利用者は2つの点でアクセシビリティ関連法の恩恵を受けている。

・規格化されたユニバーサルデザインの車両が製造され、都市鉄道や通勤鉄道で利用されている

・車両のアクセシブル化により、鉄道事業者が駅施設のアクセシブル化に取り組む

 

3]アクセシブルな鉄道システムを導入している事例

 

a. 部分的にアクセシブルなトロントの鉄道

 

トロントでは、1996年まではアクセシブルな地下鉄駅はブロア/ヤング駅とユニオン駅しかなかった。トロント都市圏交通局(TTC)は、2000年までに障害者・高齢者のモビリティ確保で成果をあげるため、1990年に主要交通政策の見直しに着手した。公開制の協議手続きを導入し、既存のTTCの事業計画の有効性の評価から取り組みを開始した。この中で、障害をもつ利用者のモビリティの改善を実現するために、着手すべきいくつかの事項を発表した(表3-3-2)。広範囲に及ぶ改良事業には表3-3-3に示す主な項目を含んでいる。これらは現在、ほとんどの駅で標準仕様となっている。車両では、幅広いドアと座席跳ね上げ式の車いすスペースが設置されたアクセシブルなT-1型車両が1996年1月から運行を開始し、車いす使用者の利用が可能になった。

 

 

 

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